2013 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク理論を用いた金融システムのシミュレーション分析
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25780203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 照義 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10387607)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融ネットワーク / システミック・リスク |
Research Abstract |
金融ネットワークの分析においては、ネットワーク理論で提供されたさまざまな指標やコンセプトを応用できる。その一つの例が、Google のサーチエンジンでも用いられているPageRankで、本研究ではPageRankが金融システムにおける金融機関の重要性を表現する一つの方法として利用できることを示した。 ネットワークにおける重要なノードとは、もしそのノードがつぶれたらネットワーク全体に影響が広がるようなものである。ただし、これまでのネットワーク理論では無限大サイズのネットワークを考え、その上で平均場近似によって分析されることが多い。その場合、どの一つのノードをとっても、無限小にすぎず、影響力のあるノードは存在しないことになる。 しかし金融ネットワークなどの現実に見られるネットワークのサイズは有限で、銀行数で言えば300程度に過ぎない。このような場合には、ページランクのようなノード間の影響力の差を見出す手法が有効である。 本研究では、シミュレーションによって、実際にPageRankがシミュレーション結果の示す影響力と密接な相関があることを明らかにした。 また、ネットワーク構造から求められたPageRankで順位をつけたうえで、それに基づいて安全資産保有を義務付けるような「免疫化」を考えると、大規模破綻連鎖の確率は大きく下がる一方、一度破綻がおこると壊滅的状況になることが明らかになった。これはプルーデンス政策を考える上でも重要な示唆である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読つき雑誌に掲載が2本、同改訂中が1本で、ある程度の結果がでていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
理工系の研究者、あるいは海外の研究者とも連携を深めつつ、役割分担を行いながら大規模な分析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文掲載料に相当するが、いつ掲載になるかタイミングがわからなかったため。 今年度早期に掲載料として使用する。
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