2016 Fiscal Year Annual Research Report
Risk Sharing, Optimal Market Integration and Financial Contagion
Project/Area Number |
25780206
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大野 弘明 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (20554934)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスクシェアリング / 市場参加選択 / 市場分断均衡 / 危険回避度 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の資産市場が同時にリスクシェアリングの機会を供給するリスクシェアリング外部性モデルに経済主体間の生産性ショックを明示的に導入し,各経済主体の資産市場への参加選択問題を分析した.このリスクシェアリング外部性モデルでは,国家固有のリスクがどれだけ分散可能かはグループへの参加国家に依存する.即ちリスクシェアリング外部性が存在する.各経済主体は各市場でのリスクの分散可能性を予測し,いずれの市場に参加するかを決定するが,その結果達成される市場統合が経済主体の予測に整合する状態が均衡である.この分析を通じ,賦存ショックの伝播メカニズムを明らかにし,望ましいリスクシェアリングルールに関する含意を示した. 得られた結論として,危険回避係数に依存して,均衡の特徴付けに違いが生じることが明らかになった.危険回避係数が高いときには予備的貯蓄を通じた資本の過剰蓄積が生じるが,生産部門におけるスピルオーバー効果による資本の過小性と相殺され,一意の安定的な市場分断均衡が存在する.この場合には,完全な市場統合は実現し得ない.一方で,危険回避係数が低いときには安定的な完全市場統合均衡と,不安定な市場分断均衡の複数均衡が存在することが明らかになった. 政策決定者に対するインプリケーションとして,本研究課題から明らかになったことは,市場統合と成長率の間の関係を見定めることによって,晒されるリスクには最適な水準があることである.このモデルはBrexitなど,市場統合とは逆の方向に向かう各国の経済合理性に関する一つの説明要因となる.
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Research Products
(3 results)