2013 Fiscal Year Research-status Report
大都市工業と経済発展―日本経済史における都市と地域―
Project/Area Number |
25780214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
今泉 飛鳥 埼玉大学, 経済学部, 講師 (60613461)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済史 / 近代日本 / 東京 / 都市 / 産業集積 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国民経済の発展や都市間の関係性を念頭に都市内部の産業の実態とその歴史的な変容を解明することにある。具体的にはi) 特許権取得者の分布・ネットワーク、ii) 工業教育による労働者・技術者のネットワーク、iii) 取引関係のネットワーク、そしてiv) 関東大震災及び戦災からの復興過程における地域とネットワークの反応の4点を分析する。とりわけ本年度は①都市と産業集積の関連についてまとめることと、②関東大震災からの復興について論文にまとめることを目標としていた。 ①について、戦前期東京の機械工業における独立開業行為の活発さ及び労働市場の流動性から産業集積の特徴を論じ、7月に企業家研究フォーラム年次大会の共通論題「大都市型産業集積の可能性―過去と現在―」の一報告として発表した。この内容は『企業家研究』11号に報告論文として掲載される。共通論題では大阪及び現代との対比を試み、本研究が対象とする戦前期東京の特徴をより強く認識することができた。とりわけ、1930年代以降の下請制の議論との接続を意識し、より長期的視点から都市所在の産業集積の意義とその歴史性を明らかにすることができた。 ②については、東京都公文書館所蔵の資料から震災後半年程度の時期を集中的に観察し、中小零細の商工業が密集していたことや被害が広域にわたったことなどの条件が重なって復興需要、とりわけサービス需要が被災地内で連関した可能性を指摘した。『社会科学論集』に投稿し、第142号に掲載が決定している。 以上のように、予定していた内容について発表の機会を持つことができた。また、上記分析を通して、戦前期の都市産業の担い手が柔軟性と多面性を持っていたこと、そして災害復興時にその性質が積極的な役割を果たした可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた内容、特に都市の産業集積についての分析視角を整理する論稿をまとめ、発表することができた。また、関東大震災からの復興については公文書館所蔵の資料以外にも産業横断的なデータを見出し、その入力を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に沿って分析を進める。平成26年度は特許権などのデータに示される工場経営者間のネットワークの分析を予定している。加えて、震災復興について入力したデータの整備を進め、分析をより深める予定である。国際的な発信も積極的に目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね予算総額通りの執行だったが、3月の研究補助謝金等の支払いに若干の余裕が生じたため。 学術書・資料の収集や、資料調査等の旅費として用いるほか、データ入力とその整備作業のための謝金・その他として使用する。
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Research Products
(3 results)