2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本の炭鉱閉山過程とその社会経済的影響に関する研究
Project/Area Number |
25780216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
島西 智輝 香川大学, 経済学部, 准教授 (70434206)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 石炭産業 / 産炭地 / オーラル・ヒストリー |
Research Abstract |
平成25年度は、(1)産炭地別の炭鉱閉山の検討(基礎資料の作成・検討)、(2)資料調査(資料の所在と分析事例の確定)、(3)インタビュー対象者の選定とインタビュー調査(4名)、を計画した。 (1)については、公表統計や市町村史に基づいて、主要炭鉱の閉山状況を整理し、とくに北海道では閉山による経済的影響が非常に大きかったことを数量的に確認した。また、閉山に際しては国だけでなく、地方自治体レベルでも様々な経済支援制度が導入されていたことが判明した。 (2)については、慶應義塾大学「日本石炭産業関連資料コレクション」所収の資料、および北海道立文書館所蔵の主要炭鉱の資料を調査、検討した。その結果、三菱鉱業と羽幌炭鉱鉄道を事例とすることを確定し、両企業の資料を重点的に収集した。 (3)については、北海道夕張市の方1名と元国会議員1名の候補を選定し、インタビュー調査を申し込んだ。しかしながら、国会議員の方は体調の関係でインタビューを断念せざるを得ず、北海道夕張市の方1名のインタビューのみを実施した。閉山の過程、対象者から見た閉山のコストとベネフィットについてお話を伺うことができた。 このように、(3)については、当初計画を達成することはできなかったが、(1)(2)において、次年度以降の炭鉱閉山過程の具体的な分析に必要な資料やデータを十分に整えることができ、研究計画をほぼ達成することができた。なお、収集した資料の一部を活用して、国際シンポジウムで日本石炭産業の衰退過程について口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、インタビュー調査では、当初計画よりも少ない対象者しかインタビューできなかった。しかし、それ以外の資料収集や分析は順調に進んでいる。とくに、事例研究の対象とした企業については、閉山提案前後から閉山後の炭鉱離職者の再就職の状況までを時系列を追って把握可能な一次資料を収集することができた。 これらの資料は、本研究の目的である1960年の北海道の主要大手炭鉱の閉山過程、および閉山をめぐるコストとベネフィットの調整・分配の分析において、非常に有用な資料であると考えられる。それゆえ、研究はおおむね順調に推移していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のうち、インタビュー調査に基づくオーラル・ヒストリー記録の作成については、計画より遅れが見られるため、今後はこの遅れを取り戻していく。平成25年度にインタビューした方より、インタビュー対象者を紹介していただけることになったので、遅れを取り戻すことは十分に可能である。 文書資料の調査・収集、および文書資料やオーラル・ヒストリー記録に基づいた具体的分析については、当初計画どおり進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各経費について、なるべく安価な物品やサービス(旅費、テープ起こし費用)の調達に努めた結果、当初計画経費をやや下回る使用額となった。 今年度計画でやや遅れが見られたインタビュー調査関連で重点的に使用することで、適正な執行が実現するよう計画している。
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Research Products
(3 results)