2014 Fiscal Year Research-status Report
環大西洋経済圏における北アメリカ植民地と西インド諸島植民地の貿易の展開
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25780219
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (40306866)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 北アメリカ植民地 / 西インド諸島 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、海外調査は行わず、これまで収集してきた北米植民地と西インド諸島間の貿易に関する資料の整理と海外の研究者との研究協力の進展に力点を置いた。 平成27年2月には研究協力を進めているコーネル大学のエドワード・バプティスト教授を招聘し、東京大学アメリカ太平洋地域研究センター主催、本科研共催で講演会を開催した。バプティスト教授とは建国期のアメリカ南部の奴隷制と奴隷貿易について長年、共通の関心を持っており、講演会はアメリカ奴隷制、奴隷貿易とアメリカ資本主義の発展との関連について追求した研究報告となった。コーネル大学で定期的に行われるアメリカ資本主義史のワークショップへの参加を平成27年もしくは平成28年度に予定している。 また平成26年度内に翌平成27年8月に京都で開催される国際経済史学会(World Economic History Congress)の準備を進めた。海外の研究者5名と植民地期から20世紀にいたるまでのアメリカ南部地域の経済発展についてパネルを組み、平成26年夏にプロポーザルを提出し、12月に正式に受理され、セッションでの報告が決定した。このパネルにおいて、植民地のアメリカ南部の中でもサウス・カロライナ植民地とバージニア植民地の奴隷貿易体制の比較について報告することになっている。両植民地の奴隷貿易の発展は、北米植民地と西インド諸島間の貿易関係にも影響を与えたため、本研究課題に関連する内容になる。平成27年度以降に6人の報告論文を出版する計画を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は産休から復帰し、海外調査が難しいことを鑑みて研究計画を立てていたが、実際は海外で資料を収集したり、現地で研究協力者と交流することができないことは予定していたスピードでの研究の前進を阻んだ。しかし、平成27年度に京都の国際学会で協力者とのパネル報告が実現することになり、平成26年度中も奴隷制と奴隷貿易を専門とする海外研究者を招聘するなど、研究協力・交流を継続することで大幅に研究が遅れることがないよう、計画を立ててきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年8月の京都で開催される国際経済史学会での報告の準備、およびその後その報告を論文にまとめる作業に取り掛かる予定である。さらに、コーネル大学の研究協力者とこれまで十分に利用されていなかったルイジアナ州ニューオーリンズにおける奴隷売買の記録などを活用した研究を進め、ワークショップの開催・参加を企画している。こうした研究報告や交流の機会を通して、植民地以降の奴隷貿易の発展について、より明確な輪郭を描き出せるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度は産休から復職したものの、海外への調査を断念したため、予想を下回る出費となった。また、資料も国内にある物や既に収集したものを利用していたため、まとまった額での支出はなく、結果的に平成27年度以降に使用することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は国際経済史学会関連の出費を予定しており、同学会のパネルのメンバーを招聘して講演会などを開催する可能性を探っている。短期間での海外調査も検討中である。パネルメンバー以外の外国人研究者の招聘で、アメリカ経済史や植民地史の日本での研究の活性化につながるような機会を提供できればと考えている。
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