2015 Fiscal Year Annual Research Report
起業家の認識・解釈プロセスをふまえたベンチャー企業事業化プロセスの体系的研究
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25780224
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高島 克史 弘前大学, 人文学部, 准教授 (60463759)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新しさゆえの脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,前年度までに実施してきた文献調査並びにインタビュー調査の総括を行った。ベンチャー企業の創業時には,「取引先との関係性の弱さ」や「顧客への知名度の低さ」などが新しさゆえの脆弱性とよばれる経営課題を惹起していることが確認された。 本研究の意義としては,このような新しさゆえの脆弱性の生成プロセスを描写することができた点にある。これまで,新しさゆえの脆弱性はその課題の存在が指摘されるだけで,どのようにそのような課題が生成するのか,プロセスについてはほとんど言及されてこなかった。 より具体的には,事業機会の探索やアイデア創出を通じて独自のビジネスプランの作成が行われていることが確認された。しかし,このような独自性だけではベンチャー企業の経営は脆弱なままであった。この脆弱性を克服するためには,当該ビジネスに正当性をあたえてくれるようなパートナーの探索・連携,連携先企業からの経営の参画や派遣など制度的環境からの影響を積極的にコントロールしていることが明らかとなった。起業家は,ビジネスアイデアや事業機会だけでなく,それを実現するような制度的環境まで認識しながら事業を展開していることが明らかにできた。この研究成果の一部は『弘前大学経済研究』第38号に「ベンチャー企業の経営課題と制度的環境」として発表した。また,『津軽海峡交流圏シンポジウム』においても,実務家を対象に発表した。
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Research Products
(1 results)