2014 Fiscal Year Research-status Report
海外研究開発の立地特性と人的ネットワーク:知識流入の機会と知識流出の脅威との関係
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25780227
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
林 正 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (50434270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際経営 / 立地選択 / 知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、1.多国籍企業の海外子会社の立地選択に関する先行研究のサーベイ、2.海外子会社間の制度的距離に関するデータベースの構築とそれを用いた定量分析を行った。まず、海外子会社の立地選択の影響要因として、先行研究で注目されてきた本国からの制度的な距離(文化的距離、行政的距離、地理的距離、経済的距離)に加えて、世界各国を複数の地域に分類した場合の、地域内における海外子会社間の制度的距離を測定したデータベースの構築を行った。地域内における海外子会社間の制度的距離は、情報通信企業の海外事業経験者へのヒアリング調査を通じて新たに見出されたものであり、海外子会社間での知識移転や協調行動を促進するため、重要な立地要因の1つであると考えられる。各国を特定の地域に分類する方法については、地理的な距離に注目する分類、文化的距離に注目する分類、貿易投資協定などにもとづく経済的な側面に注目した分類のそれぞれを用いた。地域の各分類にもとづき、海外子会社間の制度的距離が、海外子会社の立地選択に及ぼす影響について定量的な分析を行った。それらの結果をまとめ、国際学会への発表の申し込みを行い、平成27年度に発表することとなっている。また、ヒアリング調査を通じて、海外子会社の活動内容によって、立地選択に対する海外子会社間の制度的距離の影響は異なる可能性があるため、実務的観点からは研究開発や製造などの活動内容をより細かく分類する必要があること、さらに立地選択の事前と事後の、各々の海外子会社間の制度的距離を考慮することが望ましいという点について知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、地域に注目した海外子会社の立地選択に関する先行研究のサーベイを行い、海外子会社間の制度的距離のデータベース構築と、研究開発を活動に含む海外子会社の立地選択に関する定量的な分析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで作成を進めてきた海外子会社間の制度的距離、そして発明活動の地理情報のデータベースを追加的なデータとヒアリング調査で補強し、仮説検証を目的とする定量分析を行う。その研究成果を論文および学会での発表を通じて公表することを計画している。
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Causes of Carryover |
複数国をまとめた地域における海外子会社間の制度的距離のデータベース作成は、地域の分類方法や制度的距離の測定方法に多様性があり、予想を上回る時間が必要とされた。そのため、学会発表の申し込みや各国の制度的指標に関するデータの補強が遅れてしまい、これらを次年度に行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要となるのは、主に学会への参加費用、国の制度的指標に関するデータベース、そしてヒアリング調査を含んだ調査旅費などである。
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