2017 Fiscal Year Annual Research Report
The trap of diversification
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25780239
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
村上 善紀 亜細亜大学, 経営学部, 講師 (60614097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多角化 / 新規参入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バブル崩壊後20年以上に渡る日本企業の業績低迷の原因を、詳細なミクロデータに立脚したうえで日本企業の経営行動から明らかにすることにある。本研究を遂行するために、経済産業省が実施している企業活動基本調査の個票データを入手し、日本経済研究センターの個別企業財務データベースなどを利用しながら、日本企業の長期にわたるミクロデータの分析及び米国企業との比較を行った。 本年度においては、特にエレクトロニクス産業を対象とし、日本企業と米国企業の長期における上場企業財務データを収集して比較を行った。この研究からは以下のような点が明らかとなった。日本企業は米国企業と比較して、上場企業の売上及び利益に占める、企業年齢の高い企業の割合が非常に大きい。これは、古くからある大企業がエレクトロニクス市場の中心を占拠して、新製品開発やイノベーションもこれらの企業が主導するため、新規参入企業が活躍し新陳代謝が起きる度合いが米国よりも著しく低い。また、それを可能にしているのが日本企業の止まらない多角化であり、日米それぞれの売上高上位の企業を比較してみると、米国企業は専業に近い事業形態なのに対し、日本企業は高度に多角化した企業が上位を占めている。これらの事から、日本企業は過度の多角化によって市場を占有し新規参入企業が育ちにくくなっており、それが多角化により売上は増加するものの利益が増えないという、日本企業の近年の低迷の原因の一つになっていると思われる。今後はこれを他の産業にも応用し、本研究の最終成果として本年度中にまとめる予定である。
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