2013 Fiscal Year Research-status Report
ラディカルな技術変化への適応メカニズムの探索：写真プリント業界の事例研究
| Project/Area Number |
25780247
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
| Research Institution | Meisei University |
|---|
Principal Investigator |
兒玉 公一郎 明星大学, 経営学部, 准教授 (70610343)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 経営学 / イノベーション / 写真プリント / デジタル化 / 質的データ / 事例研究 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は、一つの産業や業界が大規模な技術変化にどのように対応していくのかという問題について、写真ビジネスの事例を通して検討するものである。具体的には、写真プリント業界(DPE)を取り上げて、DPE業界が写真のデジタル化というラディカルな技術変化にどのように対応し、そのことがビジネス上の存続にどのように影響を及ぼしたのかという問題について、その適応メカニズムを解明することを目指す。
本研究の基底にある問題意識は、ある産業や業界が安定を維持しながら技術変化に柔軟に対応できるような適応メカニズムを解明することにある。競争戦略やイノベーションの研究領域では、このようなラディカルな技術変化の局面での、新興企業に対する既存企業の劣位性が指摘されてきた。本研究は、「変革と安定」という一見矛盾した特性を併せ持つことを可能にする条件について深い洞察を得ることを目指している。
平成25年度は、本研究が目指している技術変化への対応メカニズムのエビデンスとなるデータ収集に注力した。とりわけ、(a)「お店プリント」のプレーヤー、(b)「お家プリント」のプレーヤー、(c)消費者の三者を対象とする定性・定量両方のデータ収集を行うことを目標とした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成25年度は(a)写真プリント、(b)ホームプリント、(c)消費者の3社に対してインタビューを実施する予定であった。
現在までのところ、(a)写真プリント業界に対する重点的なインタビューが進行中である。具体的には、「お店プリント」を担う写真店に対して広くインタビューを試みると同時に、そこで用いられるミニラボのデジタル化という技術革新プロセスにも立ち入った分析を行っている。後者は主として文献に基づく分析ではあるものの、写真店が写真のデジタル化に対応した理由を探るうえで不可欠な視点であると考えられる。
他方で(b)ホームプリントおよび(c)消費者に対する調査が手薄になっている点については否めない。その一つの要因として、インタビュー取材の協力が得られない等の問題がある。
|
| Strategy for Future Research Activity |
(b)ホームプリント、(c)消費者に対する分析が相対的に手薄になっている現状に鑑みて、当面は、関係者へのインタビューに固執するのではなく、アヴェイラブル・データの収集および分析という代替的な手段により確実に調査を進行させることを念頭に置く。とりわけ、写真雑誌のデータ解析に基づいて、(b)と(c)を横断的に見る分析に着手する予定である。目下、調査対象とする写真雑誌の選定およびデータベースの構築方法について検討中である。データベースを構築して、消費者の間でホームプリントがどのように浸透していったのか、あるいは浸透を阻まれているのかという点について、定量的に浮き彫りにしたいと考えている。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の発生した理由は、第一はインタビュー調査の実施回数が予定より少なかったことと、比較的近辺で行われたことにある。当然ながら、今年度に調査が延期になっているため、繰り越しになった予算を充てる予定である。第二は、間接経費を十分に活用できなかった点にある。この研究テーマを含む、研究実施者の研究活動全体を視野に入れることで、間接経費を活用できる余地があると考えられる。
直接経費に関しては、前年度に実施できなかったインタビュー等の調査出張に充当する予定である。また、間接経費に関しては調査活動全般に必要な機器、書籍等を充実させる必要があると考えている。
|
Research Products
(1 results)
