2013 Fiscal Year Research-status Report
組織の内部統合機能と内部統合に向けた変革のための資源動員プロセスの研究
Project/Area Number |
25780253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
中本 龍市 椙山女学園大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80616136)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織構造 / 機能別組織 / 分化と統合 / アライアンスマネジメント / 制度論 / 資源動員 / 組織間関係 / 正当性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、①分化が進んだ組織全体の統合担当機能と統合担当者の役割を明らかにすること、②統合担当機能を組織内で企画し、設置し、制度化する組織内のプロセスを明らかにすることである。この目的の下に、平成25年度においては、主として5つを進めることができた。一つ目は、日本企業の事業部制導入のプロセスとその後の組織構造の変化に関する既存研究の検討(とりわけ、組織構造研究に関する古典研究を収集して詳細に検討した)、二つ目は、フィールドとしての医薬品企業においての探索的な聞き取り調査による組織変革のための資源動員の説得とそのプロセスのとりまとめ、三つ目は、企業間の境界に位置する担当者(アライアンスマネジャー)の役割と企業間の役割分担と境界の決定に関する探索的調査、四つ目は、企業間の取引関係の決定要因(特に、弁護士や弁理士、アライアンスマネジャーといった専門職を組織がどのように選択していくのかというプロセス)に関する定量的調査、五つ目は、日本の医薬品企業の取引関係の構造の国際比較である。 本研究では、近年では置き去りにされてしまった組織構造の設計問題を取り扱い、特に、提携を通じた外部資源の活用の必要性が増え統合担当機能の内部統合・外部統合という役割が増し、組織構造が大幅に変化しつつある医薬品企業からインプリケーションを得ることを最終目的にしている。 すでに、平成25年度では、以下のように成果を報告している。『日本経営学会誌』(査読付き)、神戸大学経営研究所『ビジネスインサイト』、学位申請論文(京都大学)、アライアンスマネジメントに関する書籍の執筆分担、フランス・アルザスでの研究会ならびに米国のAcademy of Managementでの報告を含めた研究会などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに非常に順調に進んでいる。 当初の予定では、平成25年度は、主に日本国内の調査を行うこととしていた。そこで、最初の研究目的は、統合担当者とその機能、その連携部門の機能について最初にパイロット調査として事例研究を行うことであった。すでに協力を得ている日本ファルマアライアンス研究会を通じて10社を調査対象と予定していたが、公式、非公式の聞き取り調査を含めてそれ以上のデータを集めることに成功している。加えて、公的なデータソースや利用可能な公開データを、調査を通じて次々と発見することができたため効率的な調査実施が可能になりそうである。上述のように、本研究ではすでに定量研究が可能な段階に入ることができており計画よりやや早く進んでいると評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に行った事例研究を元に、統合活動と成果につながる変数を特定する。それを元に、医薬品企業を対象にアンケート調査を行うのが、平成26年度の目的である。 計画の通り、本研究の特色としては、社会ネットワーク分析を調査票に導入することである。これは、統合活動を客観的に他者との接触データとして補足するためである。日本国の経営学研究においては調査票で社会ネットワーク分析が活用される例はほとんどない。だが、統合担当者が日常的にどの職能部門とどれだけの幅を持ってコミュニケーションを取っているのかは統合活動の良しあしを決する重要な要件である。さらに、定性的、定量的国際比較研究を行うことも本研究の特色である。すでに研究協力を得ている外資系医薬品企業の日本法人を通じて海外本社法人の調査依頼を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた調査旅費を次年度に実施する予定に変更したため。 平成26年度の計画を実施する際に旅費の一部として利用を予定している。
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Research Products
(7 results)