2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
奈良 沙織 明治大学, 商学部, 講師 (40642880)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営者予想 / アナリスト予想 / 価値関連性 / 業績予想精度 / 業績修正 / アナリスト / ディスクロージャー / 自主開示 |
Research Abstract |
当研究課題につき、2013年度は業績予想として投資家等に用いられる「経営者予想」および「アナリスト予想」に関して以下3つの研究を行った。 第1に、アナリスト予想として一般的に用いられているIFIS予想とQUICK予想(アナリスト・コンセンサスのデータ)について、その予想精度と価値関連性について調査した。分析の結果、IFIS予想、QUICK予想ともに2000年代後半については同程度の予想精度と価値関連性を有していることを明らかにした。このことは、同じ企業を分析対象とした場合、2000年代後半に関してはどちらのデータを用いても同様の結論が得られることを示すものである。 第2に、経営者予想公表後のアナリストの業績予想の修正およびアナリスト予想の価値関連性について企業規模を考慮した研究を行った。本研究では、経営者予想が公表されるとアナリストはすぐに自身の予想を経営者予想に沿う形で修正するが、その後、大規模企業からアナリストによる新たな情報生成が始まることを明らかにした。また価値関連性の分析では、経営者予想公表後は大規模企業からアナリスト予想の価値関連性が高くなるという実証結果を示した。このことは、株式市場が前述のアナリスト予想の特性を認識しており、新しく有益な情報を選別して利用していることを示すものである。 第3に、アナリスト予想の価値関連性についてアナリスト・カバレッジとの関係を明らかにした。本研究では、アナリスト・カバレッジが多い企業ほどアナリスト予想の価値関連性が高いことを示した。このことより、アナリスト・カバレッジが十分にある企業ではアナリスト予想が十分に株価に織り込まれる傾向があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で扱う業績予想に関し、2013年度は3つの研究の成果を論文として公表できたため、おおむね順調に進展していると判断する。業績予想に関しては、経営者予想、アナリスト予想の両方について分析を行い、アナリスト予想については2つの主要なデータ(IFIS予想、QUICK予想)について、そのデータの特性を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の研究を行う予定である。ひとつは、銀行依存度の高い企業について、経営者予想の予想精度および価値関連性について実証分析を行う。また、企業の成熟度と経営者予想・アナリストカバレッジについて実証分析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、財務・株価データを購入する予定であったが、移籍した先の大学で必要としていたデータが入手できたため次年度使用額が生じた。 2014年度はガバナンスを考慮した研究を行う予定である。この研究に取り組むにあたり、ガバナンスに関連したデータを購入するため50万円ほど利用する予定である。また、アメリカ会計学会で発表を行うため、そのための旅費として60万円ほど利用する予定である。その他、アナリスト予想のデータの追加購入などを検討しており、残額に関しても有効に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)