2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780280
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
奈良 沙織 明治大学, 商学部, 講師 (40642880)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営者予想 / アナリスト予想 / 価値関連性 / 業績予想精度 / 業績修正 / アナリスト / ディスクロージャー / 自主開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題につき、2014年度は以下の研究を行った。第1に、銀行への依存度の高い企業の経営者予想およびアナリスト予想の特徴について明らかにした。分析では、銀行への依存度が高い企業では経営者予想の精度が低いことを提示した。また、こうした企業ではアナリスト・カバレッジが少なく、アナリスト予想の精度が低く、情報の不確実性を示すアナリスト予想の分散も大きい傾向があることを示した。この背景には、銀行依存度の高い企業では金融市場で資金調達を行うニーズが低いことから、株式・債券投資家などに対してディスクロージャーを行うインセンティブが低いことがあると考えられる。間接金融を主流としてきた日本において企業の資金調達と経営者予想・アナリスト予想の関係を明らかにした点が本研究の貢献である。 第2に、経営者予想の公表がアナリスト・コンセンサスに与える影響について、企業規模の観点から分析を行った。分析の結果、経営者予想の公表がアナリスト・コンセンサスに与える影響は、大規模企業では経営者予想の公表直後に大きくなることが分かった。一方、小規模企業ではアナリスト予想の修正が遅れる傾向があり、経営者予想の公表後4週間経っても十分に予想の修正が行われないことが明らかになった。これまで経営者予想の公表に対するアナリスト予想の修正については多くの研究が行われているが、企業規模によりその影響が異なることを示した点が本研究の貢献である。 第3に、企業の成熟度と経営者予想の楽観性および予想精度の関係について分析した。本研究では、企業の成熟度の低い企業では成長のための資金需要が旺盛である一方、株主還元を行う余裕はあまりないため、少しでも投資家に自社が魅力的に見えるように経営者予想を楽観的に示す傾向があることを明らかにした。これまで着目されてこなかった企業の成熟度と経営者予想の関連を明らかにした点が本研究の貢献である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題にある業績予想とガバナンスというテーマについて、2013年度は既に3本の論文を公表している。また2014年度は1件の学会発表を行い、2本の論文を発表した。さらに現在進めている研究も複数あり、2015年度中に論文としてまとめ学会誌に投稿する予定である。研究成果の蓄積および発表が着実に行われている現状を鑑み、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は本研究課題の最終年度に当たる。本年度は昨年学会で発表した論文をまとめて学会誌に投稿する予定であり、現在、論文を執筆している。また、まだ発表に至っていない研究に関しても分析がまとまり次第、学会誌に投稿することを目標としている。具体的には、MBO時の業績・業績予想の公表、利益調整と業績予想などがある。
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Causes of Carryover |
2014年度のデータを反映した最新のデータを購入するため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最新の情報を反映したアナリスト予想のデータおよびガバナンスのデータを購入するために50万円ほど利用するほか、海外学会参加のための旅費として40万円ほど支出する予定である。
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Research Products
(3 results)