2015 Fiscal Year Research-status Report
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25780281
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神納 樹史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70364685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 連結の範囲 / 支配権 / 未実現利益引当金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業集団における公正価値について、「会計制度の動向」「会計制度の理論的考察」「企業の実例」の3点から考察している。第3年度(平成27年度)において、以下の研究成果を得た。 1.第1の研究課題「会計制度の動向」及び第2の研究課題である「会計制度の理論的考察」では、世界各国に影響を与えているIASBの連結範囲における支配権の考え方を整理しつつ会計制度の動向を探り、IASBに影響を与えてきた英国の考え方をTaylor所説を拠り所として理論的考察を行った。この研究成果を「連結範囲における支配権―Taylor所説を拠り所として―」『産業経理』(Vol.75,No.1, pp.43-52,2015年04月)において公表した。 2.第2の研究課題「会計制度の理論的考察」及び第3の研究課題「企業の実例」として、現在でもしばしば粉飾処理の一つの要因とされる商品の処理について、連結会計上の論点の1つとされてきた未実現利益の処理を中心にNewlove所説とFinney所説を基に理論的考察を行った。この研究成果を、『財務会計論究』において分担執筆した「連結会計上の商品の取扱い―Newlove所説とFinney所説を拠り所として―」(森山書店)に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
会計制度の中心である国際会計基準については、連結会計上の数値にも影響を与えることが予想される概念フレームワークの改訂、そして公表に向けた作業が行われている。その内容を詳細に検討するとともに、関係する諸学説を拠り所として、昨年度に引き続き根底にある考え方を明らかにすることを行った。また、昨年度は、それまで生じていた公正価値と関連させて論じられるのれんの処理のみならず、企業集団の範囲・連結の範囲に関する不正、未実現利益をはじめとする商品の処理の不正など企業行動に大きな問題が起きた。実際の問題とその解決策の検討は今なお行われており、それを踏まえて理論的に検討し、制度面での実行可能性を引き続き行う必要があるが、当該研究成果等の論文執筆状況も既述のように継続して行われていることから、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成28年度)は、主に会社の事例研究を予定していることから、平成27年度に取り上げられた企業の会計不正の事例を検討し、問題の整理をし、その解決策を探るために参考となる過去の事例並びに理論を探しながら、考察していきたい。また、既述のように平成28年度に公表予定のIASBの概念フレームワークは、企業集団に関する財務諸表作成の根本的な考え方も整理しており、会計制度の動向も踏まえながら、理論・制度・実務を関連させて考察を行うこととする。
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Causes of Carryover |
旅費(海外出張)について、為替変動の影響により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画書通りに、旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)