2016 Fiscal Year Research-status Report
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25780281
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神納 樹史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70364685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | のれん / 連結の範囲 / 公正価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業集団における公正価値について、「会計制度の動向」「会計制度の理論的考察」「企業の実例」の3点から取り組んでいる。第4年度(平成28年度)において、以下の研究成果を得た。 1.第1の研究課題「会計制度の動向」については、企業集団並びに公正価値に関する国際会計基準の動向を把握した。その結果、現在は、主にのれんに焦点が当てられていることが明らかとなった。次に、国際会計基準に影響を与えている英国の会計制度、さらにEU離脱以降の英国の会計制度の動向の参考となると考え、国際会計基準に関わる前に公表されていた英国会社法を中心に検討した。そしてこれらを比較検討し、現在は、金融商品取引法の考え方が強く影響しているものの、会社法の考え方も改めて確認する必要性を示した。この成果は、『新潟大学経済論集』において論文「1985年英国会社法及び国際会計基準における連結のれん認識時の処理」を公表した。 2.第2の研究課題「会計制度の理論的考察」として、企業集団におけるのれんの処理を中心に米国の学説の変遷を踏まえて検討した。その結果、企業集団の捉え方によってのれんの処理が変わっており、そこには関連性があるのではないかと考えられた。そこで、のれんだけを取り上げるのではなく、企業集団の捉え方を踏まえてのれんの処理を考えるべきであるとの結論が得られ、その成果を日本会計研究学会関東部会での報告ならびに『會計』において論文「企業結合会計と連結会計の史的検討」を公表した。実際、現在の粉飾決算の多くは、企業集団の捉え方すなわち連結範囲に関わっており、粉飾決算防止にも示唆が与えられるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業集団及び公正価値に関する制度の整備も、順調に行なわれており、制度の把握及び学説に基づいた理論的考察については、計画通り行なっている。一方で、粉飾決算が相次いで発覚しているため、こうした動きへの対応が制度等で行なわれている。その内容を詳細に検討しているものの、理論的に深めるにはもう少し時間がかかりそうであるが、当該研究成果等の論文執筆状況も、既述にように継続して行なわれていることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、主に会社の事例研究を予定している。昨年度に公表された企業の不正に関する問題を整理し、企業の評価、特に公正価値に関連して、制度の整備が行なわれているものの、どのような問題が依然として残っているのかを明らかにしつつ、過去の研究蓄積からどの程度対応可能なのか、また対応できない部分については、どのように対応していくべきかを、引き続き検討していくこととする。
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Causes of Carryover |
既に承認していただいた補助事業期間延長願いにも記載したが、一昨年度まで学務委員をし、カリキュラム改正にも関わり、また昨年度は入試委員をし、高校生相手の大学説明会に出席するなど、校務に時間が予想以上に割かれたため、予定していた学会への参加ができなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画書通りに、学会に参加する際の旅費及び本研究テーマに関連する図書購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)