2015 Fiscal Year Research-status Report
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25780297
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
東 健太郎 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20535843)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境情報開示 / 環境パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
環境情報開示の動機は、先行研究においては、環境情報開示と環境パフォーマンスの関連性として分析されている。最近の研究結果は、企業のWEB開示(自発開示報告書を含む)を分析対象とし、環境パフォーマンスの優れた企業ほど、広範な環境情報開示を実施することを示してきた(サンプルは欧米企業に限定されてきた)。 本研究においては、日本企業をサンプルとし(より具体的には電気機器業界124社)、環境情報開示と環境パフォーマンスの関連性を分析する。平成27年度はそのためのデータ収集と分析を実施した。 先行研究において示された45項目のインデックスに基づいて、平成23年度期首時点における環境情報開示をweb archiveサービスを利用して、定量評価した。実際に分析する際に、遡っての検査が可能になるように、加点の根拠となったWEB開示の画像スナップショットを収集し、企業ごとのファイルとしてまとめた。環境パフォーマンス指標としては、一般に公表されているPRTR物質ならびにGHG物質を用いた。先行研究に基づき、その他、企業規模、株価のボラティリティ、トービンのQなどをコントロール変数として導入した。 トービット回帰分析の結果は、優れた環境パフォーマンスの企業ほど、広範な環境情報開示を実施していることが明らかになった。この結果は、環境情報開示の大部分を企業の裁量に委ねる現行の仕組みの積極的なサポートにもなっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のレビューを通じ、環境ディスクロージャの研究に関しては、その定量評価の仕方を精緻かつ包括的に実施することが、最近のトレンドとなっていることが明らかになった。そのため、当初は、サンプル企業数を大きくするために、簡易的な定量評価を計画していたが、先行研究に準じた定量評価を実施するために、項目数を増加させたインデックスを使用する方針を採用した。そのため、サンプル企業数としては、当初の計画よりも減少しているが、作業、結果、そのインプリケーションとしては、概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で示したプロジェクトについては、論文としてまとめて2016年度中に公表することを目指す。 また、その他のプロジェクトとして、「福島原子力発電所事故直後の原子力産業の開示リアクション」があり、このプロジェクトについては、2015年度での国際学会での報告、また2016年度における国際学会での報告を経て、ジャーナル論文への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
人件費の大半は、データ収集に実施した。データに問題点が発生したときの対処に人件費が必要であるが、今年度中には、そのような問題は明らかにならなかった。次年度以降に、問題が発生した時には、その問題に対処するための人件費が必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データに問題が生じた場合には、その対処のために使用する。また、データに問題が生じなかった場合には、成果報告のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)