2014 Fiscal Year Research-status Report
ミックスドメソッドアプローチによる反外国人意識形成メカニズムに関する研究
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25780305
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 排外意識 / 多文化共生 / 政治意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる本年度は、研究の核となる社会意識調査を実施した。具体的には、選挙人名簿を用いた多段層化抽出を行い、日本全国24市区町村、4800人を抽出した。この調査対象者に対し、郵送調査を実施した。12月31日までで1778人から有効回答を得た(有効回収率38.2%)。得られた調査データの入力、クリーニングを行い、基礎的な分析結果を調査報告書にまとめ、ウェブサイトで公表するとともに、希望する調査対象者に郵送した。 基礎的な分析の結果、韓国人・中国人に対しては、他の国籍者と比べて、より否定的な意識がみられるという、2013年からの傾向が持続していることが確認された。また、外国人増加による治安悪化への懸念が強い一方、経済活性化や労働力不足解消の期待が高いことや、貿易自由化によるメリットを感じている人が半数近くいることが示された。各種政策への支持をみると、中小企業支援や生活保護受給資格の厳格化については、6割以上が支持しているのに対し、憲法9条の改正は反対派が支持派を上回っている。また、政治に関する情報源としては、新聞やテレビが活用される傾向にあるが、若年層では新聞よりもインターネット上のニュースや掲示板が情報源とされている。今後、これらの意識の属性や地域による差について分析する予定である。 調査の実施と並行して、2013年度に実施された調査データをもとに、外国籍者への権利付与支持についての分析を行った。欧米においては、文化的権利の付与の是非と社会的権利の付与の是非という2つの軸が、外国籍者の統合モデルを分けると考えられてきた。しかし、この分析の結果、日本においては文化的権利の付与の是非は人々の考える統合モデルの軸とはなっておらず、セーフティネットの付与の是非と政治的権利の付与の是非が軸となっていることが示された。この結果を論文にまとめ、学術雑誌で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査実施の時期は当初予定よりもやや遅れたものの、本調査は完了しており、分析も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成27年度は、平成26年度に実施した調査データの分析を行い、成果を論文および報告書として公表する予定である。すでに分析に着手しており、9月に行われる日本社会学会での報告および論文としての投稿を行う準備が進められている。また、インタビュー調査については、本調査の調査対象者ではなく、新たに採用した対象者(調査会社のモニター)に対し実施する予定である。これにより、人々が何を「脅威」と考えるかについて、より詳細な分析を行う。
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Research Products
(6 results)