2013 Fiscal Year Research-status Report
都市的生活様式とその変動要因の解明―時系列比較と国際比較から―
Project/Area Number |
25780309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
赤枝 尚樹 関西大学, 社会学部, 助教 (50645546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市度 / パーソナル・ネットワーク / 意識 / 行動 |
Research Abstract |
平成25年度は研究計画初年度であるため、今後都市社会学の観点から国際比較や時系列比較をおこなっていくにあたり重要な尺度である、都市度尺度の再検討と確立に関する議論を計画していた。そこで平成25年度は、平成の大合併以後、都市度尺度としての有効性を失いつつあるとの指摘がなされている自治体人口に代わる、新しい都市度尺度としての人口ポテンシャルを提案し、その有効性についての実証的検討をおこなった。 そうした検討をおこなうにあたり、情報化社会に関する全国調査や、格差と社会意識についての全国調査などの全国調査を用いている。そして、従来利用されていたものよりも詳細な、抽出地点の町丁・字の情報も用いて、抽出地点の町丁・字から半径40kmの範囲の人口ポテンシャルを算出した。そのことにより、町丁・字ごとに算出可能であり、なおかつ近隣自治体に都市的な地域が多いかどうかという、周辺の状況も反映した都市度尺度を構成することができるといえる。そこで、そのようにして算出した人口ポテンシャルと、個人を対象にした全国調査データを結合し、自治体人口と人口ポテンシャルが人々の意識や行動・ネットワークに与える影響の大きさについて検討した。 その結果、従来の都市度尺度である自治体人口よりも、本研究が提示する新しい都市度尺度としての人口ポテンシャルのほうが、人々の意識やネットワークのあり方に対してより大きい効果をもつことが明らかとなった。このことは、従来の都市度尺度よりも、本研究で提示する都市度尺度のほうが、都市度による人々の意識やネットワークの差異を明らかにしていくうえで有益であることを示しているといえるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度は、地理情報システム(GIS)も活用しながら新しい都市度尺度を構成していくことを主な目的としていた。そしてその点についてはほぼ完全に達成することができており、査読付きの学術論文としても刊行されている。 また、それに加えて、平成25年度のうちに人々のつながり(ソーシャル・キャピタル)に関する国際比較にも着手しはじめており、当初の予定以上に計画が進行していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、大きく二点のものを考えている。 第一に、これまでの自身の研究から明らかになっている知見をまとめ、都市社会学に関する書籍として刊行する準備を進めることである。この書籍については日本国内の検討をおこなったものを予定しており、今後の研究課題として、国際比較研究の必要性を指摘する研究として位置づけることができる。 そして第二に、実際に都市効果や人々のつながり(ソーシャル・キャピタル)に関する国際比較研究をおこない、都市や人々のつながりに関する従来の仮説が当てはまる社会と当てはまらない社会の差異とともに、そうした差異が生じる要因についても検討をおこなう。
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Research Products
(3 results)