2014 Fiscal Year Research-status Report
都市的生活様式とその変動要因の解明―時系列比較と国際比較から―
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25780309
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
赤枝 尚樹 関西大学, 社会学部, 助教 (50645546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市 / パーソナル・ネットワーク / 非通念性 / 同類結合 / 下位文化理論 / 都市的疎外 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究成果をまとめた書籍『現代日本における都市メカニズムーー都市の計量社会学』を執筆し、ミネルヴァ書房より出版した。その結果、(1)農村と比べて都市のほうが非親族的な紐帯がむしろ豊富であり、ネットワーク密度が低い傾向にあること、(2)都市では趣味的な同類結合がより促進される傾向にあるため、新しい文化や価値観が生まれやすい傾向にあること、(3)一般に流布している、都市における無力感や孤独感の増大、規範の崩壊といった言説については、計量分析からは支持されないこと、(4)都市においては、創造性を含む非通念性(通念にとらわれない傾向)が高い傾向にあり、それは(1)や(2)でみられた都市のネットワーク特性によって生み出されていること、といった点が明らかとなった。したがって、「無縁社会」の源泉として語られる都市は、現代日本においてはそうしたイメージとは逆に、むしろ活発なコミュニティが存在する場所であり、そうした活発なコミュニティによって、都市の創造性が高められているといえるのである。 また、そうした研究の一環として人々のつながりを表すソーシャル・キャピタルに関する国際比較研究も行い、社会学における代表的な国際学会である国際社会学会(International Sociological Association)で報告を行うなど、研究成果の海外に向けた発信についても、議論が進められたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおよそ予定通り、これまでの研究をまとめた書籍を出版することができたのに加え、国際学会での報告を行うなど、研究成果の海外への発信という点でも進展が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
データ分析を進めながら国際比較研究を行い、国際学会での報告と、海外ジャーナルへの論文の投稿を行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度は日本社会学会での報告を含め、出張が多くなることが予想されたため、出張旅費を想定して次年度への繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は学会報告を中心とした出張が多くなることが予想されるため、海外の国際会議や学会への参加も想定し、出張旅費としての使用を多めに計画している。それらに加え、海外ジャーナルへの投稿を行う際の英文校閲費や図書の購入に関する費用も計画している。
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