2016 Fiscal Year Annual Research Report
Middle Aged People's Attitudes for Elderly Care: Investigation of its Factors and Relationships with Values
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25780321
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
中西 泰子 相模女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50571650)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高齢者介護 / 老親扶養 / 世代間関係 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の高齢者介護とそれを支える社会政策のあり方を構想するためには、将来において老親介護の当事者となりうる人々の予定、希望や不安を把握することが不可欠である。そこで本研究では、高齢者介護について、介護する・される側としての理想と実現可能性に関する意識を把握するとともに、性別や社会経済的地位など社会的要因や価値意識(家族観やジェンダー観、社会保障/福祉に対する意識等)との関連の検討を行った。 具体的には、中年世代(40~59歳)男女を対象にネットモニターを用いた量的なサーベイ調査を行った。その分析結果から得られた主な知見としては、①高齢者介護に関する個人的意向において、理想と実現可能性の間に一定の乖離がある、②高齢者介護への関与に関する意識について、とくに女性の場合に被介護者との続柄(自分の親か配偶者の親か)による違いがある、③社会経済的地位によって望ましい家族介護のあり方に関する意識が異なる、ことなどが挙げられる。特に③の点については、2017年発行の『老年社会科学』 38(4)の論文(「老親扶養意識にみる世代間の葛藤とつながり」)において論じた。 先行調査においては、高齢者介護に関する意向を把握する際、対象者の選好(preferability)を把握しているのか、それとも実現可能性(ability)を把握しているのかが明確な区別のないことが多く、結果の解釈の困難さを生じさせている。本研究の結果から、両者を区別したうえで、その乖離について検討していくことの必要性が示唆された。またジェンダーと社会経済的地位は、高齢者介護をめぐる人々の意識を複雑に規定していた。介護の社会化や適切な家族支援のあり方を構想していくためには、介護の当事者だけではなく、これから当事者となる可能性を持つ人も含め、高齢者介護に関する人々の意向やその背景を詳細に把握する必要性が改めて確認されたといえよう。
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Research Products
(3 results)