2014 Fiscal Year Research-status Report
北海道過疎地域における「協セクター」の形成及び持続要因に関する研究
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25780334
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中田 雅美 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 学術協力研究員 (10469257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 過疎地域 / 地域福祉 / 協セクター / 住民主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、前年度に実施した高知県の集落調査に合わせて集落支援を実施する高知県庁への聞き取り調査を実施した。加えて、過疎地域における「協セクター」として位置づけられる、住民主体の活動が活発に実施されている徳島県神山町のグリーンバレー神山、島根県雲南市の阿用地区、北海道釧路市の釧路地域生活支援ネットワークサロンへの踏査を実施した。 本研究の中心的なフィールドである北海道では、積丹町で継続的に実施している独居高齢者を対象とした量的調査を行い、調査結果を近隣や家族などとのつながり、居住継続意思の視点から、日本地域福祉学会(島根)、日本社会福祉士学会(鹿児島)、European Society on Family Relations(マドリッド)での学会報告を行った。さらに北海道地域福祉学会の『北海道地域福祉研究 第17巻』に論文「過疎地域における独居高齢者の居住継続要因に関する研究-A町一人暮らし高齢者調査結果から-」が掲載された。 ほかに、山形県最上町の8集落でヒアリング調査を行い、集落の現状と住民活動につながる施策の検討をおこなった。日本の過疎地域における住民活動との比較検討を行うために、韓国ソチョン郡のネナンマウル及びソンミサンマウル。デンマークのレーソ島、障害者支援団体パレッテンでの踏査と聞き取り調査を行い、過疎地域における「協セクター」形成にかかわる視座を得ることができた。 過疎地域における「協セクター」の形成と継続には、住民主体の意識だけでなく、継続できるための経済的な裏付けや支援が必要である。さらに海外との比較から、行政と住民との役割分担の明確化やガバナンスについても考察を深める必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず1点目に、過疎地域における「協セクター」形成・継続にかかわる先進地域での踏査及び聞き取り調査を実施できたことが大きな理由である。具体的には、北海道釧路市、山形県最上町などの北日本先進事例のほか、徳島県神山町、25年度からの継続的な訪問として高知県庁への聞き取りも実現した。その他、日本国内にとどまらず、韓国やデンマークにおける過疎地域への聞き取り調査が実現したことも特筆すべき事項だと考えている。 2点目として、多くはないがいくつかの学会等で研究発表が出来たこと、これまでの成果を論文としてまとめることが出来たことも理由として挙げることが出来るだろう。 3点目として、北海道における「協セクター」調査のフィールドである積丹町との協働で調査が実施できていることも上記の理由となる。ただ、他地域との比較についてはまだ十分実現に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は本研究課題の最終年度となるため、これまでの調査・分析を進めるとともに、それぞれの事例の類型化を試みる。また積極的に学会発表や論文投稿をおこない、3年間の成果をまとめる作業を進める。 北海道過疎地域における「協セクター」調査については、「協セクター」形成・継続に係る調査の企画をすすめ、9月ごろの実施を目指す。北海道やその他北日本の先進地域との比較分析については、上記類型化にむけた作業とあわせて勧める予定である。
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