2013 Fiscal Year Research-status Report
市町村高齢者福祉担当部署におけるアウトリーチ及び直接支援・介入に関する実証的研究
Project/Area Number |
25780336
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
菅野 道生 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (00582008)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高齢者福祉 / アウトリーチ |
Research Abstract |
平成25年度に予定された研究内容は①先行研究・調査等の収集と知見の整理、②モデル地域(2~3カ所程度)における行政アウトリーチ、直接支援事例の検証であった。 先行研究の知見の整理、および実践事例の検証作業からは以下のようなファインディングスが得られた。(a)近年、アウトリーチ実践については特に精神保健・医療分野で先行して実践への導入が図られており、当該分野においてはすでに「近年のアウトリーチ論」自体の再検討が試みられる状況もある(b)一方高齢者福祉分野においては、社会的孤立や社会的排除に関する議論も背景に「支援を必要としながら、適切な支援等につながらない、あるいはそれを拒否する人」の存在への対応という文脈のなかで、アウトリーチの必要性が強調されるようになっている(c)実践面においては想定されるアウトリーチの担い手は、地域包括支援センター(および一部の社会福祉協議会)がメインとなっている(d)介護保険以降、福祉サービスの直接的な提供はもっぱら民間部門が担うようになったこともあり、直営の地域包括支援センターを持たない自治体では、高齢者福祉担当部署では、地域の高齢者の福祉課題を把握できなくなっているところもある(e)特に「困難事例」や「多問題事例」と呼ばれるようなケースでは、問題の複雑性、支援の長期化などから民間事業では担いきれない、あるいは責任をもった判断ができないといった課題が生まれやすい、等。 上記のことから、特に地域包括支援センターを民間委託している自治体においては、地域包括支援センターのバックアップ、および民間事業者等では困難な現場での責任ある判断を下すために、高齢者福祉行政としてのアウトリーチ機能の強化が求められていることが推測される。また、今後その具体的なあり方を検討する必要にも迫られていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献の収集とレビューはおおむね順調にすすんだが、自治体へのインタビュー調査は日程調整が不調等の理由により,予定していた箇所をこなすことができなかった。この点については次年度に再度調整を図り、インタビューを実施していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の文献研究と事例研究の成果を踏まえ、今後は全国調査を実施して量的なデータの収集と分析を行う予定である。これと平行して、個別事例へのインタビュー調査も実施することとしたい。
|