2014 Fiscal Year Research-status Report
感謝表出の対人機能―直接的・間接的互恵関係の成立における役割―
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25780372
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Research Institution | Shujitsu Junior College |
Principal Investigator |
蔵永 瞳 就実短期大学, その他部局等, 講師 (30634589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的感情 / ポジティブ感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、感謝表出がどのような過程を経て互恵的関係の成立に貢献しているのかを明らかにするため、2つの取り組みを行った。一つ目は、感謝表出の有無を操作する実験的検討である。この実験は、前年度より継続して実施したものであった。実験では、実験参加者が他者に小さな親切をしたときの相手の反応として、感謝表出あり、会話のみ、無反応の3条件を設定し、3つの条件間で認知・感情・行動に違いがあるかを検討した。その結果、行動に関しては条件間で大きな違いがないものの、感謝を表出する方が無反応であるよりもポジティブな印象が得られることが示された。この結果は、一度のささいな親切に対する感謝表出は、直後の行動には影響しないものの、表出者の印象には影響を及ぼすことを示唆している。他者に対してどのような印象を抱くかは、その他者と今後どのような関係を築こうと思うかに影響するだろう。本実験の結果は、感謝表出が表出者の印象を良くすることを通して、他者との関係構築に貢献していることを示唆するものであった。 二つ目の取り組みは、大学生を対象とした感謝の教わり方についての調査結果をまとめたことであった。この調査では、幼児期から今までどのようにして感謝について教わってきたかを大学生にたずねた。その結果、大学生はこれまでに、親や教員から、感謝の気持ちを表出することの重要性や、感謝の表出の仕方について教えられていることが示された。このことは、感謝表出の重要性やその方法が幼い頃から家庭や学校で教育され、対人関係の形成に影響を及ぼしていることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感謝表出の有無を操作する実験が完了した。この実験によって、感謝表出が対人印象をポジティブにすることを明らかにすることができた。また、感謝の教え方についての調査によって、感謝表出が互恵的関係の成立に貢献する基盤として、幼い頃からの学校や家庭における感謝についての教育があるという知見も得られた。本研究の目的は感謝表出がどのような過程を経て互恵的関係の成立に貢献しているのかを明らかにすることであるが、本年度では研究課題に対して大きく上記2点の成果が得られたことから、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討では、単にありがとう等とお礼を言われることが対人印象をポジティブにするのか、感謝されたという認知があってはじめて対人印象がポジティブになるのかが明らかでない。感謝表出が互恵的関係に影響を及ぼす過程の詳細を明らかにするため、次年度では、この点についてシナリオ実験を用いて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、学会参加旅費が予定よりも少なかったことがあげられる。これは、実験結果の学会発表予定を次年度に変更したためであった。また、人件費も予定より少なかった。これは、昨年度のうちに本年度予定していた資料整理の大半が完了していたことと、調査実施に予定よりも費用がかからなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度予定していた学会発表に加え、次年度の成果発表も行うため、学会発表旅費として使用を予定している。また、次年度はシナリオ実験を実施するため、その実施にかかる消耗品費および実験実施のための旅費としての使用を予定している。
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Research Products
(1 results)