2015 Fiscal Year Annual Research Report
感謝表出の対人機能―直接的・間接的互恵関係の成立における役割―
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25780372
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Research Institution | Shujitsu Junior College |
Principal Investigator |
蔵永 瞳 就実短期大学, その他部局等, 講師 (30634589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的感情 / ポジティブ感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、感謝表出がどのような過程を経て互恵的関係の成立に貢献するのかを明らかにするため、WEBを用いたシナリオ実験を行った。この実験は、援助場面のシナリオを呈示し、そのシナリオにおける被援助者の反応の内容を操作するものであった。被援助者の反応としては、感謝表出の有無と、感謝の気持ちの有無を操作した4条件を設けた(たとえば、感謝表出なし・感謝の気持ちあり条件では、被援助者に関して、感謝の気持ちはあったものの、その気持ちを表出しなかったという内容の説明を呈示した)。また、この他に統制条件として、援助場面のシナリオを呈示しない条件を設けた。 各条件において、もし実験参加者が援助者の立場であったとするなら、援助の受け手に再度援助を行うか、その後第三者に対して援助を行うかを尋ね、その得点について条件間の違いを検討したところ、感謝の気持ちがなく感謝の表出もない被援助者は、感謝の気持ちも感謝の表出もある被援助者と比べると、再度の援助を受けられない傾向が示された。また、被援助者に感謝の気持ちがあるものの感謝の表出がない場合は、感謝の気持ちも表出もある場合と比べると、その後の第三者に対する援助が起こりにくい傾向が示された。 これらの結果から、感謝表出は、単に表出があるかどうかだけでなく、そこに気持ちが伴っていたかどうかによって、表出の受け手(援助者)に及ぼす影響が異なることが示唆された。また、その影響は、同じ相手に再度援助を行う行動と、第三者に援助を行う行動とでは異なっていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)