2013 Fiscal Year Research-status Report
テレビ視聴と職業観・勤労観の発達:キャリア教育へのメディアリテラシーの観点の導入
Project/Area Number |
25780374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanto Gakuen University |
Principal Investigator |
田島 祥 関東学園大学, 経済学部, 講師 (60589480)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テレビ視聴 / 勤労観 / 働くことに対する価値観 / キャリア教育 / Web調査 / 高校生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、テレビ視聴が子どもの勤労観や働くことに対する価値観にどのような影響を及ぼすのかを検討することである。そのために、テレビ番組の内容分析を行い、番組内で描写される勤労観・働くことに対する価値観を明らかにする。また、中学・高校生を対象とした縦断調査を行い、テレビ視聴の影響を検討する。さらに、家庭や学校でのキャリア教育はテレビ視聴の影響をどのように変えうるのか、その調整効果について検討する。得られた結果を踏まえ、キャリア教育の中でメディア情報をどのように扱うべきなのかを考察する。 本年度は、高校生を対象としたインターネット上での2波パネル調査を実施した。分析の結果、テレビ視聴が多いほど勤労観は低下する傾向がみられた。この影響は、特に調査期間中に特定の職業の人に会う機会が多かった子どもでみられた。働くことに対する価値観については、ドラマ視聴が多いほど「活動志向」が高まる傾向がみられた。この影響は、特に家族と仕事について話をする機会の少ない子どもにみられた。また、学校でのキャリア教育を多く受けている子どもにもそのような傾向がみられた。「ステイタス志向」については、家族と仕事について話をする機会の少ない子どもはドラマ視聴が多いと志向が高まり、機会の多い子どもは志向が低まる傾向がみられた。以上ように、学校や家庭における職業や仕事に関する情報への接し方によってテレビやドラマ視聴の影響が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、テレビ番組の内容分析と縦断調査を組み合わせ、テレビ視聴が子どもの勤労観や働くことに対する価値観にどのような影響を及ぼすのかを検討することを目的としている。特に、家庭や学校でのキャリア教育による調整効果に着目する。最終的には、得られた結果を踏まえ、キャリア教育の中でメディア情報をどのように扱うべきなのかを考察し、キャリア教育におけるメディアリテラシーの観点の導入のあり方について提案していく。 縦断調査においては、中学・高校生を対象とした3波パネル調査を計画し、本年度はその1波目調査を行う予定であった。しかしながら、テレビ番組は時期によって内容が大きく変わることから、2波パネル調査を2度行い、調査時期の違いを超えた結果を得ることの方が重要であると判断し、計画を修正した。また、学校単位で協力を依頼する質問紙調査を計画していたが、キャリア教育は学校や学級単位で実施され、回答者間の差が出にくいことから、調整変数としての役割を考慮し、インターネット調査に方法を変更した。それに伴い調査費用の見積りにも変更が生じたため、本年度は高校生を対象とした調査を行った。調査対象は高校生のみとなったものの、当初計画では本年度は相関関係の結果しか得られない予定が、因果関係の検討ができるようになった。また、次年度の研究に向けた課題も抽出できたことから、最終目的への到達度として、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、①中学生を対象とした縦断調査の実施、②高校生を対象とした2回目の縦断調査の実施、③内容分析研究の実施、④内容分析と縦断調査に基づく因果関係の検討が挙げられる。次年度は、特に①②の中学・高校生を対象とした2波パネル調査を実施するとともに、③の内容分析の実施準備を進める。また、最終年度には③の内容分析を実施し、④の因果関係の検討を経て、キャリア教育の中でメディア情報をどのように扱うべきなのかを考察していく。 本研究では、先述の通り、3波パネル調査を実施する計画を2波パネル調査を2度実施する計画に変更した。本年度に実施した1回目の調査結果において、テレビ視聴の影響について解釈が難しい結果がみられたことから、次年度に実施する2回目の調査では、使用する変数や尺度について再検討し、様々な観点からの検討を可能にする調査を実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、テレビ視聴の影響を検討するにあたり、キャリア教育による調整効果を検討することも主要な目的の1つとしている。先述の通り、学校でのキャリア教育は学級や学校単位で実施されることから、学校単位で調査協力を依頼すると回答者間での差が出にくく、調整変数としての役割が十分に果たされなくなることが危惧された。そこで本年度はインターネット調査に方法を変更することとした。それに伴い調査費用の見積りにも変更が生じ、中学・高校の両者を対象とした調査の実施が困難になったことから、本年度はまず高校生を対象とした調査を行った。中学生を対象とした調査を実施しなくなったことにより、次年度使用額が生じた。 本研究では3波パネル調査を実施する計画を2波パネル調査を2度実施する計画に変更したことにより、調査の実施回数が増えた。また、最終年度に実施する内容分析研究では、分析対象を録画したDVDの作成やコーディングを担当する実験補助などに費用がかかる。次年度使用額はこのために使用する予定である。
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