2014 Fiscal Year Research-status Report
職場における「本音の抑制」イベントの要因に関する研究
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25780379
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 友一郎 中京大学, 心理学部, 講師 (30513147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 職場 / 本音の抑制 / 組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで実施してきた研究により,看護師のバーンアウト傾向及び失敗傾向は本音を抑制する頻度に影響を受けることが示された。そこで,本研究では職場における本音の抑制に焦点を当て,そもそもなぜ本音を抑制することになってしまうのか明らかにすることを第一の目的としている。また,他の職種(特に対人援助職以外の職種)との比較により,どの職種にも一般化可能なのか検討することを第二の目的としている。 平成26年度は,個人にとって職場での本音の抑制が常態化している程度を把握するための尺度を作成した。その上で,どのような因子で構成されているか検討し,測定している内容についての妥当性を確認した。これについては2つの調査を実施した。1つ目の調査は,平成25年度に作成した尺度及び関連する概念を測定する尺度を用いて看護師453名を対象に質問紙調査を実施した。その結果,看護師の職場における本音の抑制について表出不能因子と表出制御因子という2因子が見出された。また,個人要因,社会的環境要因の双方との関連が確認された。2つ目の調査は,対人援助職を除く会社員や公務員400名を対象にweb調査を実施した。この調査では,看護師用とは別に平成25年度に一般向けに作成した尺度を用いた。これも看護師と同様の分析をした結果,関係上の理不尽因子と仕事上の無理因子という2因子が見出され,看護師とは異なる内容の因子で構成されていることが明らかとなった。ただし,これらの2因子も個人要因と社会的環境要因の両方と関連が確認された。以上の2つの調査については学術雑誌に投稿中である。さらに,平成26年度は,これまでの研究で示されたバーンアウト傾向及び失敗傾向との関連が見られるか確認するために上記とは別に2つのweb調査を実施した。これらについては,現在分析中である。また,この後に実施予定の実験についても準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に計画の変更を迫られるトラブルがなかったため,おおむね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は,職場に対する潜在的態度及び顕在的態度を測定するための実験刺激を作成する。潜在的態度の測定にはImplicit Association Test (IAT) を用いる。IATに用いる刺激は,看護師10名と他職種10名を対象として予備調査を実施する。IATの刺激についてはノートパソコンの画面に単語付きのイラストで提示し,形容詞については単語のみで提示する。顕在的態度については,質問紙上で潜在的態度と同じ刺激を用いる。これら顕在的態度と潜在的態度の差をもって職場における本音の抑制が生じる個人要因(個人として本音を抑制している程度)の指標とする。 上記の指標を作成した後は,個人として本音を抑制している程度が実際に本音を抑制する出来事をどの程度生じさせるのか検討する。つまり,平成27年度に作成する指標が平成25~26年度に作成した「職場における本音の抑制」イベント尺度に及ぼす影響を検討する。この最後の検討は会社員,公務員と看護師の両方について検討するため,平成28年度までまたがって実施することになる予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は人件費等で予算が必要であるが,交付額が低めであるため平成26年度の予算を可能な限り節約して捻出した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の補助やデータ入力等に関わる人件費,国内外での発表のための旅費等に使用予定である。
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