2016 Fiscal Year Research-status Report
職場における「本音の抑制」イベントの要因に関する研究
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25780379
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 友一郎 中京大学, 心理学部, 准教授 (30513147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 職場 / 本音の抑制 / 組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人間が組織内において働く上で,なぜ日常的に本音を抑制するというイベントを経験するのか明らかにすることを目的としている。また,その要因がバーンアウトや失敗傾向といった職業生活上ネガティブな状態にどのような影響を及ぼすのか,さらにそこにどのような職種間の違いがあるのか検討することも目的としている。全体の流れとして,自己報告に基づく顕在指標の調査を進めた後,そこに顕在指標を組み合わせた実験的検討を行う計画であり,今年度が最終年度のはずであった。しかし,研究代表者の亀裂骨折により治療及びリハビリに時間を要したため,最後の潜在指標を組み合わせた検討を行うことができなかった。 今年度の実績としては,本音の抑制に関する実態とその要因について看護師に的を絞って調査した結果が,研究代表者の所属先が発行する審査付紀要に掲載された。この調査結果では,本音の抑制イベントは表出をしないことによるイベントと表出できないことによるイベントに分けられ,これらは関連する自己制御能力が異なり明確に区別されることが示された。また,自己制御能力という個人要因と組織風土という環境要因は共に本音の抑制イベントに関連するが,これらの組み合わせによる効果は無く,個人要因と環境要因は別個に影響することが明らかとなった。なお,会社員を対象にした同様の調査も既に実施しており,学術雑誌に投稿中である。 潜在指標を組み込んだ研究計画は既に研究代表者の所属先の倫理審査を終えており,あとは実行するのみとなっている。また,顕在指標と潜在指標を組み合わせた実験の前段階として予備的検討を行い,顕在指標のみの調査結果と共に学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の怪我(左肘の亀裂骨折)に伴う治療及びリハビリのため,研究がまったく進まない時期もあり当初の計画通りには進まなかった。その後も研究の速度を当初の計画より上げることはできず,遅れた分はそのまま遅れとして残り1年延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は,平成28年度に計画の実行をすべて終える予定であったが,研究代表者の怪我による遅れを取り戻せなかったため,1年延長して平成28年度に計画していた以下の内容を平成29年度に実行する。 職場に対する潜在的態度を測定するためにImplicit Association Test (IAT) による実験を中心とした研究計画を遂行していく。IATの刺激についてはノートパソコンの画面に単語付きのイラストで提示し,形容詞については単語のみで提示する。顕在的態度については,質問紙上で潜在的態度と同じ刺激を用いる。これら顕在的態度と潜在的態度の差をもって職場における本音の抑制が生じる個人要因(個人として本音を抑制している程度)の指標とする。以上により,個人要因が本音の抑制というイベントをどの程度生じさせるのか検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の怪我による遅れを取り戻せなかったため,平成28年度にできなかった計画を1年延長して実行する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には,平成28年度の使用計画のままとする。主に実験参加への謝礼に使用することとなる。
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