2015 Fiscal Year Research-status Report
ニホンザルにみられる寛容性の個体差と地域差―行動関連遺伝子に注目して―
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25780389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 一憲 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (80506999)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 比較行動学 / 協力行動 / 寛容性 / 社会構造 / ニホンザル |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンザルは厳格な優位関係を持つため、優位個体は劣位個体に対して、食べ物の取得に関して明確な優先権を持つ。劣位個体が優位個体の目の前で食べ物に手を伸ばすことは、優位個体による攻撃行動を導くきっかけとなることが多い。本年度は、勝山ニホンザル集団(岡山県真庭市)と淡路島ニホンザル集団(兵庫県洲本市)を対象に、食べ物をめぐる個体間の相互交渉について調査を行い、データを収集した。 ニホンザルの協力行動について:Hirata & Fuwa (2007)を参考にした装置を作成して、協力行動課題を実施した。この装置は、2個体が同時にヒモを引くことで報酬の食べ物を得ることができるが、1個体だけがヒモを引いても報酬は得られない仕組みになっている。この装置を用いた先行研究では寛容性の高いペアや寛容性の高い種ほど協力行動が成立しやすいことが示されており、それゆえ一般的に寛容性が低い種であるとされるニホンザルでは協力行動課題は成功しにくいと考えられてきた。ニホンザルの典型である専制的な社会構造を持つ勝山集団にこの装置を持ち込み、屋外に設置した装置に自発的に集まってきた個体を対象として実験を行った。ほとんどの試行では、複数の個体が同時に装置に近づくことができず、1個体のみがヒモを引っ張るため、ヒモが装置から抜け、課題が続行できなくなっていた。食べ物の優先権をめぐる順位関係が厳格なニホンザルでは、食べ物が設置してある装置を複数個体が操作することが難しいようだ。ニホンザルにおいて協力行動を成立させるためには、報酬である食べ物を共有できるような条件が必要になることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
投稿論文の執筆・投稿が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文の執筆・投稿を進める。
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Causes of Carryover |
個体識別の困難さにより、DNA飼料の収集と解析が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作成したデータベースを活用して、個体データの蓄積を進める。
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Research Products
(9 results)