2015 Fiscal Year Annual Research Report
問題発見・解決能力を育む教授法開発に向けた問い生成過程の解明:文脈構成力を中心に
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25780393
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
向井 隆久 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (30622237)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 問い生成力 / 問題発見力 / 課題発見力 / 文脈構成力 / 独創性 / 希少性 / 多様性 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの成果として,学習者の文脈構成力(逆算的文脈構成力)が高いほど,授業内での「深い問い(答え)」の生成率が高いことが明らかになった。そこで27年度は,問い生成力に関して,これまで測定してこなかった「問い内容の詳しさ・多様性」と「独創性(希少性)」を測定し,文脈構成力との関連を検証した。また本研究では,「問い内容の詳しさ・多様性」と「独創性(希少性)」の測定について,数式による評価の指標を考案し,問いの質の客観的評価を試みた。 大学生28名(文脈構成力高群:9名,中群:9名,低群:10名)を対象として,「問い内容の詳しさ・多様性」と「独創性(希少性)」を測定し,文脈構成力との関連を検証した結果,文脈構成力低群に比べ,高群と中群が有意に問い内容の詳しさ・多様性が高いことが示された。独創性(希少性)については,文脈構成力の高低によって有意な違いは示されなかった。一方,講義内容(単元)によって,「問い内容の詳しさ・多様性」には違いが生じないが,独創性(希少性)には大きな違いが生じることも明らかになった(p<.001)。これらの結果の一部は日本教育心理学会第56回総会にて発表し,現在論文執筆中である。 さらに27年度は,問い生成力と文脈構成力との因果関係を検証するため,文脈構成力を高める訓練課題を作成し(Web学習),文脈構成力を高めることで問いの生成力も高まるのかを検証した。大学生89名(訓練群:41名,統制群:48名)を対象に,訓練群と統制群の授業内での「深い問い(答え)」の生成率を比較した結果,訓練群が統制群に比べ,有意に「深い問い(答え)」の生成率が高いことが示された。文脈構成力を高めることで「深い問い(答え)」の生成率が向上したことから,両者の間に因果関係があることを示唆された。結果の一部は日本教育心理学会第57回総会にて発表した。
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Research Products
(1 results)