2014 Fiscal Year Research-status Report
強みの発見や活用を支援するポジティブ心理学的介入法の開発
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25780424
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
石村 郁夫 東京成徳大学, その他部局等, 准教授 (60551679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 強み / ストレングスアプローチ / ポジティブ心理学 / ポジティブ心理学的介入法 / 就職支援 / 学生相談 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、一昨年度の研究成果について国内外の論文誌等(GSTF Journal of Psychologyおよび東京成徳大学臨床心理学研究)で積極的に発表し、社会的な貢献を果たすよう努めた。また、初年度から引き続いて、就職活動に取り組む大学生や学生相談に通う大学生の強みの発見と活用を支援するポジティブ心理学的介入法を実施するために、特に、大学生の就職支援プログラムに含まれる強みや長所の発見に関する教材、大学生の強みの発見や活用を支援する精神的健康の改善プログラムに関する資料、さらに欧米で展開されているストレングスアプローチ(ポジティブ心理療法、認知行動療法、問題解決療法等)で使用されているテキスト等を改めて収集し、介入プログラムで利用するエクササイズやワークシート類を精査し、実施要領を策定した。 1.従来、実施されている強みの発見や活用に関する介入プログラムについて網羅的に資料を収集し、心理学を専門とする教員1名、大学院生2名により、プログラムの内容を精査した。その結果、プログラムの内容としては、1)強みの自覚を促し、意識を向けさせる段階、2)日常生活の中で強みを積極的に活用させる段階、の二段階に大別され、さらに、介入ポイントとしては、主に強みとなる思考様式、行動様式、情動スタイル、対処方略、人間関係、社会資源、の6箇所に分けられることが示された。また、本邦においては、弱みと強みを繋げて捉えようとするプログラムや人間関係の中で強みを活かそうとするプログラムが散見されており、弱みの反転的利用や人間関係への活用が求められていることが推察された。 以上から、強みの発見や活用を支援するポジティブ心理学的介入法で実施するプログラムが選定され、就職活動に取り組む大学生や学生相談に通う大学生の強みの発見と活用の支援に向けてエクササイズやワークシート類がブラッシュアップされたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、実施した3つの研究に関して、GSTF Journal of Psychologyおよび東京成徳大学臨床心理学研究に投稿するために数多くの時間や労力が奪われてしまい、昨年度の研究計画を大幅に遅らせることになった。これは、昨今、スピード感のある研究業績が社会的に求められており、それに応えるために研究論文の発表をより重視したためである。以上を達成度の理由と考える。また、研究2および研究3において、強みの発見や活用を促進させる生成条件を同定し、介入プログラムを実施する上での工夫を施すために、特に、大学生の就職支援プログラムに含まれる強みや長所の発見に関する教材、大学生の強みの発見や活用を支援する精神的健康の改善プログラムに関する資料、さらに欧米で展開されているストレングスアプローチ(ポジティブ心理療法、認知行動療法、問題解決療法等)で使用されているテキスト等を改めて収集し、介入プログラムの内容や実施要領は改訂を重ねて完成に至っている。既に、研究を実施する上での研究協力者を雇用し、調査協力者の募集に関しては目途が立っており、最終年度に向けて準備が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に開発された強みの発見と活用を支援するポジティブ心理学的介入プログラムについて一般大学生を対象に実施し、そのプログラムの安全性ならびに有効性を検討していく。正規プログラムの起訴段階として就職活動を控えた大学生を対象にして強みの発見と活用を支援する心理教育的プログラムを実施し、本プログラムの有効性、実施可能性ならびに調査協力者の肯定的な変化を促進する上での重要な要素は何であるかについて質問紙法、観察法、面接法で探索的に検討する。プログラムに含まれる各セッションの題材としては、強みとなる思考様式、行動様式、情動スタイル、対処方略、人間関係、社会資源であり、弱みの反転的利用や人間関係への活用を意識しながら、従来の米国防総省のレジリエンス・トレーニング、CAPPの強みの開発プログラム、スマート・ストレングス・モデルを参考に10回セッションと在宅課題を設定する予定である。本プログラムの効果量を算出するために、本プログラム実施前後および追跡評価の時点で、強み自覚尺度、キャリア意識の発達を測定するCAVT、精神的健康を測定するWHO-5、STAI、SDSを含めた質問紙調査を実施する予定である。以上の試験的運用で得られた実施者や参加者の所感を踏まえて、本プログラムを微調整し、就活活動を控えた一般大学生ならびに学生相談室に通う大学生を対象により適合した内容に改変していく。また、別の対人援助職の専門家でも利用できるように実施する上での行動要領をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該助成金の理由としては、前年度の研究に際しての印刷費や資料分析のための協力者雇用、諸学会参加に係る費用などで、当初の予算以下で実施可能だったことによる残額による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画は以下の通りである。1.物品費:関係書籍の追加収集と文房具類、印刷用紙の購入、など、2.旅費:諸学会参加のための交通費・宿泊費、3.人件費・謝金:研究に協力いただく被験者への謝礼(およそ40~80名予定)、資料整理やデータ入力および分析作業等の協力者への謝礼、4.その他:研究で用いる質問紙尺度、調査用紙、介入プログラムの印刷費、諸学会での研究発表と参加費用、委託費(論文翻訳等)など
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Research Products
(5 results)