2015 Fiscal Year Annual Research Report
重度アルツハイマー型認知症高齢者における動作療法の治療要因
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25780431
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
足立 匡基 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50637329)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / 周辺症状 / 心理療法 / 動作療法 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者に対する動作療法の効果として観察される社会性の回復や不安の低下、情動活性化の治療要因を検討するため、認知症と診断された特別養護老人ホームに入居する高齢者32名を対象に調査を行った。 対象者を動作療法を実施する介入群16名(平均年齢=82.2歳, SD=7.3)と動作療法を実施しない非介入群に16名(平均年齢=81.7歳, SD=7.1)に分け、介入群には週1回30分程度の動作療法をおよそ1年にわたって施行した。動作療法の内容としては、介入開始から6カ月間リラクセイション課題を実施し、残りの介入終了までの6カ月の期間に、リラクセイション課題に加えタテ系動作課題を実施した。 介入群・非介入群ともに、主たる介護者に観察評価尺度であるMOSESとBRAVEADを用いて、自発性や社会性、認知症の周辺症状についての評価を月1回の頻度で依頼した。最終年度は、介入群への介入および両群における観察評価を全て終え、治療効果やその要因について分析を行った。 結果として、介入群においては、MOSESの下位尺度である「セルフケア」「ひきこもり」を含む複数の項目で変化が認められ、自発性や社会性の有意な改善が観察された。介入課題との関連からは、「セルフケア」は、リラクセイション期からタテ系期にわたり、なだらかな改善傾向が認められたのに対し、「ひきこもり」は、リラクセイションの効果が認めれたものの、タテ系課題の効果が認めれなかった。また、BRAVE-ADの下位尺度である「日内リズム障害」を含む複数の項目で変化が認められ、認知症の周辺症状においても有意な改善が認められた。「日内リズム障害」については、「ひきこもり」と対照的にリラクセイション課題の効果が認められず、タテ系動作課題の効果のみが観察された。
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