2013 Fiscal Year Research-status Report
パラノイアにおける潜在・顕在的認知についての実証的研究
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25780432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
津田 恭充 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (80635665)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パラノイア / 被害妄想 / 潜在的認知 / あいまいさへの態度 |
Research Abstract |
本研究は、潜在的認知および顕在的認知の両面からパラノイアの生起メカニズムを明らかにしようとするものである。本年度は、潜在レベルのパラノイアを測定するための実験手法(パラノイアIAT)の開発を試みた。既存の尺度や事例研究などに基づいてパラノイアIATを構成する刺激語の候補を抽出し、その中から重要度が高いと考えられる語を選定した。最終的に、パラノイア―非パラノイアの属性についてそれぞれ5つの刺激語を決定した。この結果をもとにパラノイアIATを作成し、現在そのデータを収集中である。 顕在レベルのメカニズムに関しては多くの先行研究が積み重ねられているが、本研究ではパラノイア者にみられるあいまいさ耐性の低さに焦点を当てた。既存のあいまいさに関する研究では、あいまいさへの態度をあいまいさ耐性の低さのみでとらえてきたが、本研究では、あいまいさへの多様な態度を測定する「あいまいさへの態度尺度(西村,2007)を用いて、パラノイアとあいまいさへの態度の関係についてさらに詳しく検討した。その結果、情報収集によってあいまいさを統制する傾向と、あいまいさに対して不安を感じる傾向がパラノイアと特異的に関連していることが明らかになった。これは、不確実性を低減しようとするための努力の結果として自己関係づけやパラノイアが生じるとする先行研究の知見と整合するものである。この成果は平成25年度の日本グループ・ダイナミックス学会第60回大会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、パラノイアIATの作成を進めることができた。データの収集は平成26年度の前半に完了する予定である。潜在レベル以外に顕在レベルでのパラノイアの心理的プロセスについても検討し、学会発表を行った。この研究は学術雑誌への投稿に向けて準備中である。また、日本カウンセリング学会の奨励賞受賞者講演において、これまでの研究をまとめた講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成したパラノイアIATを用いて、パラノイアにおける潜在―顕在間の関係を明らかにする。それと同時に、パラノイアのメカニズムとして有力視されている防衛モデルと表出モデルの検討を行う。これにより、パラノイアの生起に潜在的プロセスが関与しているのかを明らかにする。これらの研究成果を、学会発表や学術論文等を通じて発信する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学内業務により、予定していた学会発表を取り消しせざるを得なくなったため旅費の未使用分が生じた。 学会発表のための旅費、実験用ソフトウェア、英文校閲・翻訳費、調査にかかる印刷費、論文や書籍の購入費に充てる。
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Research Products
(2 results)