2013 Fiscal Year Research-status Report
援助ニーズを持つ大学生の学生相談機関の利用を促す介入プログラムの開発と効果測定
Project/Area Number |
25780434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
木村 真人 大阪国際大学, その他部局等, 講師 (60365004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 援助要請行動 / 学生相談 / 被援助志向性 / 介入 / 援助ニーズ / 学生支援 / 大学生 / 学生相談機関 |
Research Abstract |
本研究の目的は、悩みを抱える学生が学内の相談機関を有効に利用しない要因を明らかにし、その知見をもとにエビデンスに基づいた、学生相談機関の有効利用を促す介入プログラムを開発することである。 今年度は、大学生の学生相談機関の利用を抑制・促進する要因の抽出(研究1)を目的に、まずわが国における大学生の学生相談領域における援助要請に関する文献研究を実施した。その結果、援助要請に関連する変数は、1)個人の問題の深刻さ・症状・認識、2)心理学的変数、3)ネットワーク変数、4)デモグラフィック変数、5)学生相談機関に関連する変数、6)その他、の6つに分類された。抱える問題の深刻さ、学生相談に対するポジティブな態度、大学生を取り巻く周囲の人たちの学生相談に対する援助要請の態度が援助要請を促進する要因となることが示された。また学生相談に対する援助要請を高める介入研究が増加し、援助要請の態度や意図を高める介入効果も一部で認められていた。しかし課題として、援助要請を測定する尺度や項目が各研究で異なるために、研究知見の比較や整理が十分になされないという点が明らかとなった。この研究成果は、紀要論文に発表した。 次に、文献研究の結果を踏まえ、援助要請行動のプロセスの観点から、大学生の在学中の援助要請行動を取り上げて、その時の援助要請行動のプロセスとそのプロセスを促進・抑制した要因について検討するための質問紙調査を計画し実施した。現在、データ収集・分析を進めている。さらに次年度の介入研究に向けた介入プログラム案の開発が進められた。 大学における学生相談・学生支援および援助要請研究に関する最新の知見を収集するために、日本心理学会大会、日本教育心理学会大会、日本心理臨床学会大会に参加し、研究者との情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は大学生の学生相談機関の有効利用を促す介入プログラムを開発するための基盤となる資料を得るために、文献研究及び質問紙調査を実施して大学生の学生相談機関の利用を抑制・促進する要因を抽出することを予定していた。しかし文献研究から得られた知見を踏まえて、当初予定していた質問紙調査の計画を変更したために、今年度中に終了を予定していた質問紙調査は次年度も継続して実施することとなった。したがって、達成度を上記のように自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定通り、学生相談機関の有効利用を促す汎用型介入プログラムの開発と評価(研究2)を中心に進める。今年度計画終了を予定していた研究1の質問紙調査を次年度も継続して実施し、その成果および文献研究で得られた成果をもとに暫定版プログラムを作成する。研究協力が得られた大学において講義の時間を利用して介入プログラムを実施しプログラム評価を行う。その評価結果をもとにプログラムの改良、およびweb型介入プログラムの作成を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質問紙調査実施の計画が遅れ、データ入力等の研究補助業務に対する人件費が未使用となったため。 物品費として、研究にかかわる書籍および文献複写、介入ツール作成に必要な消耗品を購入する。旅費として、資料収集および情報交換のため日本心理学・日本教育心理学会・日本心理臨床学会の年次大会に参加する予定である。また本研究にかかわるシンポジウムを企画する予定である。人件費・謝金として、データ入力・介入プログラム実施等の研究補助および調査協力への謝礼を予定している。
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