2014 Fiscal Year Research-status Report
視覚情報処理における持続的な左右差についての統合的検討
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25780445
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
實吉 綾子 帝京大学, 文学部, 講師 (90459389)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視覚情報処理 / 錯視 / 空間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
エビングハウスの円対比錯視は、中央の円と周囲の円の対比によって生じる錯視だが、その錯視量には様々な要因(円の大きさ、距離、数、類似性など)が影響を与えていると考えられている。本研究では錯視図形の配置に注目した。円対比錯視は左右に過大視と過少視の2種類の錯視を左右に配置して紹介されることが多いが、この左右配置が錯視量に影響を与える可能性を検討した。 第1実験ではPEST法を用いて、左右どちらかに配置された錯視図形の主観的等価点を測定した。参加者には比較対象の円と錯視図形のどちらが大きいかを判断させた。その結果、過大視される円対比錯視を右側に配置したほうが左側に配置した時よりも錯視量が大きくなることが示された。 第2実験では、第1実験で確認された現象が、左側に配置した時に錯視量が減少するのか、右側に配置したときに錯視量が増大するのかどうかを検討した。錯視図形を上下に配置した条件と、左右に配置した条件を比較した結果、錯視図形を右側に配置することで錯視量が増大することが示された。 なお、第3実験として予定している空間周波数に関連する研究が、Cognitive Processing誌に採択され掲載された。この論文では、物体認識において定性的情報処理が必要な課題では高空間周波数帯域が、定量的情報処理が必要な課題では低空間周波数帯域が重要となるという知見を報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験を実施し学会発表を行った。また、第3実験の準備も順調に進んでいる。関連する研究がCognitive Processing誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
なぜ右側に配置されると錯視量が増大するのかについて、検証を行っていく。左右大脳半球機能差の研究では、左視野に対する注意の偏向が報告されている。また、右半球―左視野と左半球―右視野それぞれにおいて異なる空間周波数帯域への処理優位性が報告されている。これらの先行研究の知見から、錯視量増大がどのような原因によって生じるのかを第3実験で検討する。
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Causes of Carryover |
実験用のコンピュータの購入を次年度にしたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第3実験開始に合わせて実験用コンピュータを購入し実験を行う。また、国際学会での発表を予定している。
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