2014 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム情報処理システムを用いた動物のコミュニケーション機構の解析
Project/Area Number |
25780451
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
中易 知大 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 研究員 (90623091)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コミュニケーション / リアルタイム双方向情報処理 / 3DCG / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
円滑なコミュニケーションを実現させる機序の解明は,基礎研究として重要なだけでなく,臨床応用への期待から広く関心を集めている.ヒトを含めて多くの動物のコミュニケーションにおいて中心的な役割を果たすのが視覚であるが,これまで用いられてきた動物種・研究手法には視覚コミュニケーションを理解する上での制限・限界があった.本研究は,視覚優位であるとともに飼育・維持がしやすい魚類(メダカ)を対象に,従来の研究手法の欠点を克服することができるリアルタイム双方向情報処理システムを確立し,その有効性を評価することを目標とした. 本年度は,(1)メダカの3DCGアニメーションを用いた心理物理実験と(2)リアルタイム情報処理システムの構築を行った.色や形などの形態学的情報と大域的な移動軌跡や局所的な尾部の動きなどの運動情報を操作可能な“ヴァーチャルメダカ”を3ds MaxやBlenderを用いて作成した.色,形,大域的な動き,局所的な動きを操作した刺激をメダカに呈示し,どのような情報がメダカの社会的接近行動を引き起こすことに寄与しているのかを分析した.結果,局所的な動きを取り除いた条件以外において,刺激操作によって社会的接近行動が低減した.この結果は,色,形,大域的な動きが社会的接近行動の誘発に大きく関与することを示唆する. リアルタイム情報処理システムの構築はProcessingを用いて行った.Aoki (1982)は,ルール① 近隣個体との距離が近すぎる場合には衝突しないように方向転換,ルール② 近隣個体との距離が一定の範囲内にある場合には距離を保つために並進,ルール③ 近隣個体との距離が遠い場合には接近,によって魚群が形成されることをシミュレーション研究から示唆した.これをヴァーチャルメダカとの間で実現するため,実際のメダカの位置に応じてディスプレイ上の刺激が変化するシステムを構築した.
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