2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25780453
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
中山 義久 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主席研究員 (30585906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 補足運動野 / 帯状皮質運動野 / 高次運動野 / ニホンザル / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
左右の手を適切に用いる行動は極めて基本的なものであるが、どのような神経メカニズムによってこの行動が実現されているのかは未知の点が多い。本研究課題では、左右の手の使い分けが、どのような神経メカニズムに基づいて実現されているのかを明らかにすることを目的とした。実験課題として、左手もしくは右手でボタンを押す課題をサルに学習させた。 前頭葉の高次運動野内側面にある補足運動野および帯状皮質運動野尾側部より、多点電極を用いて細胞活動の記録を行った。課題の中の左手もしくは右手で1回のみボタンを押す試行に着目し、2領域の細胞活動の違いを検討した。それぞれの領域において、(1) 同側の手の運動を表現する細胞、(2) 反対側の手の運動を表現する細胞、(3) 両側の手の運動を表現する細胞が見出された。それぞれの割合について検討したところ、(1) 補足運動野は同側よりも反対速の手の運動を表現する細胞が多い、(2) 帯状皮質運動野尾側部は同側と反対側の手の運動を表現する細胞が同程度存在する、ということが明らかとなった。 さらに、細胞活動と同時に局所フィールド電位 (LFP) を記録し、解析を行った。ボタン押し動作に関連し、高ガンマ帯 (80-120 Hz) およびシータ帯 (3-8 Hz) においてパワーの増加、ベータ帯 (12-30 Hz) においてパワーの減少が確認された。これらのパワーについて左右の手の選択性について検討したところ、高ガンマ帯において補足運動野は反対側の運動に選択的に応答したが、帯状皮質運動野尾側部はどちらの手の運動にも同等に応答した。また、これら高ガンマ帯の選択性はシータ帯の選択性とは独立であった。 これらの結果は、どちらの領域にも運動一般に関する入力があるが、帯状皮質運動野尾側部は両側、補足運動野は反対側の手の運動の情報を主に出力することを示唆するものである。
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Research Products
(8 results)