2014 Fiscal Year Annual Research Report
保育者の保育観と子どもらしさ・かわいさイメージの関連性に関する研究
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25780460
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
武内 裕明 弘前大学, 教育学部, 講師 (50583019)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | かわいいもの / 保育者 / 保育観 / 子ども観 / 製作参考書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,保育者の保育観と子どもらしさ・かわいさイメージの関連性を明らかにすることである。平成26年度には,製作参考書を通じて保育の場がかわいく飾られる背景の検討を行うと共に,保育者に対するインタビュー調査を通じて保育観と子ども観がどのようにかわいいものの使用に影響するかを検討した。 製作参考書を通じた検討からは,現在流通する製作参考書が保育を専門としない商業イラストレーターやデザイナーによって作られており,非教育専門家のかわいく装飾された場というイメージでインテリアとしてかわいいものが用いられることが明らかになった。かわいいものを用いるのは教育的意図からではなく,デザインとしての価値からであった。 保育者に対するインタビューでは,保育雑誌や製作参考書を参照して,その中から保育者の好み,子どもの製作物,簡単さの3点を基準として選択するというプロセスでかわいいものが用いられることが明らかになった。保育観との関連では,保育の場が安心して楽しく過ごせる場であるべきというイメージと,かわいいもののもつ安心感や楽しい雰囲気というイメージが類似を示した。子ども観との関連では,子どもの好みが多様であることを理解しながらも,かわいいものが好きだという平均的な子どもイメージからかわいいものの使用が正当化されていた。これらもまた,かわいいものが教育的な意図によらないことを示している。 本研究を通じて,保育の場でかわいいものが用いられる際に教育的な観点から十分な考慮がなされていないことが明らかになった。保育者志望学生は子どもの興味を引くなど教育的な配慮を前面に出すが,保育者は保育雑誌等の商用にデザインされた見本から,好みや製作物の適切さ,簡単さ等を基準にかわいいものの使用を決定している。かわいいものの使用は教育的観点によらないという点が,本研究で明らかにした重要な知見である。
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