2015 Fiscal Year Annual Research Report
デモクラシーによる「公衆」の形成─アメリカ学校改革論の社会思想史的研究─
Project/Area Number |
25780468
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
生澤 繁樹 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (70460623)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デューイ / 学校改革 / デモクラシー / 公衆 / 政治参加 / カリキュラム / 表象・代表 / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,20 世紀転換期から現代にいたるアメリカ学校改革論の展開とその今日的な意義および課題について社会思想史的な背景に照らし解明しようとするものである。とりわけ本研究では,アメリカ革新主義期におけるデモクラシー論とそれに基づく「公衆」形成の思想史的展開に着目することからこの目的を果たしていった。 研究計画の最終年度にあたる平成27年度は,本研究においてこれまでに明らかとなった成果をまとめつつ,とりわけ以下の点の解明を新たに行なった。 第一に,学校改革論の政治哲学的基底を読みなおすことで,社会思想史,政治思想史,教育思想史の視座を踏まえた現代アメリカ教育思潮の変遷と展望について検討した。またデューイとその教育思想に関する研究成果を踏まえたうえで,現代のオバマ政権における教育政策(ジョージ・W・ブッシュからのNCLB法やオバマ政権のもとで開始された“Race to the Top”プログラム)やジェイムズ・クロッペンバーグの描くオバマの政治思想(思想的淵源としてのアメリカ革新主義やプラグマティズムの伝統)の思想史的再評価と再解釈を試みた。 第二に,知識や情報のヘゲモニーをめぐって争われた従来のカリキュラムの公共性をめぐるポリティクスの問題設定や考察枠組みを検討しながら,教育思想,政治思想,社会思想との交差する課題について考察し,学校のカリキュラムを通したシティズンシップ教育やデモクラシーにおける政治参加の意義および課題の解明を行なった。デモクラシーの社会のなかで「公衆」を形成・教育する具体的なカリキュラムとしての社会科教育や道徳教育のあり方や両者のつながりにも着目し,デモクラシーと教育をめぐる学校改革の可能性と問題点を批判的に検討し,研究成果としてまとめていった。
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Research Products
(10 results)