2014 Fiscal Year Annual Research Report
学級共同体を基盤とした教育方法の基礎的研究―K.G.シャイベルトに光を当てる試み
Project/Area Number |
25780477
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
熊井 将太 山口大学, 教育学部, 講師 (30634381)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の渡独およびそこで収集された文献の講読をふまえて、平成26年度は研究成果の整理および学会発表を行った。具体的には、日本教育方法学会第50回大会(広島大学)において、「近代教育方法史における学級共同体論の形成と展開―K.G.Scheibertに光を当てる試み」と題して自由研究発表を行った。そこで明らかとなったことは、本研究の主要な考察対象であるシャイベルトの学級共同体形成論を検討していくと、①授業や学校生活の実践基盤として学級の意義を承認し、学級を教育的意図をもって「組織」する課題を明示した点において、シャイベルトの構想は学級経営・学級指導の必要性を先駆的に承認したものとして評価できること、および②その共同体論に立ち入っていくと、後にテンニースが提示したような家族的共同体理念ではなく、市民社会における組合や自治をモデルとした対話と互助に基づく共同体観が存在していたこと、の二点があげられる。こうした検討を通じて、従来の教育方法史において看過されてきた「学級教育の忘れられた歴史」に光を当てるとともに、旧教育―新教育という対立的枠組みの問い直しの作業を行った。
|