2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780478
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
吉田 茂孝 福岡教育大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60462074)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 特別支援教育 / 授業づくり / 学習集団 / ドイツ / インクルーシブ教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「特別な教育的ニーズ」のある子どもを含む通常学級で編成される学習集団を、わが国の授業研究の動向とともに、教授学研究の盛んなドイツを中心に検討し、そうした学習集団への指導方法と教材を開発することである。 初年度である2013年度は、国内外の関係図書・資料の収集をはじめ、小学校等の実践分析や教員が参加する研究会・サークルにおいても資料収集、意見交換を行った。また、ドイツ渡航において文献収集及び研究者・実践家との意見交換、フィールドワーク、授業観察等も行った。それらを分析・整理し、学会での発表や論文等にまとめた。具体的には、以下の通りである。 1.「すべての子ども」を対象にした授業論の研究課題を、(1)集団の中で多様なかかわり合いをつくり出す指導の必要性、(2)授業づくりにおける個と集団の関係、(3)学習集団内の固定化した関係性を組み替えるための取り組みや実践的な視点、に整理した。 2.学習集団の視点を整理し、一定期間継続して授業研究を行った小学校の授業記録等とその分析から、(1)授業の「見通し」について、問題をどう考えるかや「誤答」「つまずき」等を含めた多様な考え方を導く視点、(2)学習集団内の関係性の組み替えについて、共感的自己肯定感を育む視点、(3)学級活動でつくり出す関係性の恢復では、実践分析から集団意識、仲間意識をつくり出す視点、といった学習集団形成の視点を析出した。 3.わが国の特別支援教育にみられる授業づくりの特徴を整理し、ドイツの特別教育の研究動向やインクルーシブ授業と比較検討することで、わが国の授業づくりについてドイツから示唆される課題をまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、国内外の関係図書・資料を収集し、授業論を巡る研究動向やドイツのインクルーシブ教育における教授学・授業論を整理することができた。また、そうした文献研究とともに、一定期間継続して授業研究を行った小学校の授業記録等とその分析から、学習集団形成の視点を析出した。こうした検討をまとめ、実践的な視点を明確にする上で重要となる資料やデータ、さらには意見交換で得た知見をさらに深め、学会発表・活字化する準備を進めているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、本研究の最終年度にあたっている。このため、2013年度実施した国内の小学校や教員の研究会・サークルで収集したデータ・資料、授業分析や研究者及び実践家からの意見、さらにドイツ渡航で得た知見といった国内外のフィールドワークで明らかになった内容とともに、2014年度のフィールドワークの内容についても同様にまとめる。特に、授業研究を中心としたフィールドワークのまとめについては、整理し、文献研究で明らかになった理論とフィールドワークで分析した実践との比較検討を行う。 また2013年度末のドイツ渡航でのフィールドワークの結果を整理し、わが国の授業研究・教育方法の課題に示唆的なドイツ教授学関係の文献を収集する。こうしたドイツの視点との交差とともに、前年度の分析内容を検証し、学習集団の指導方法と教材開発についての研究成果を各種学会・研究会や所属機関の紀要等で発表する。
|