2015 Fiscal Year Research-status Report
公吏の学習歴―任用史料にみる明治日本の地域エリートの実像
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25780482
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池田 雅則 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60609783)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 判任官 / 文官普通試験 / 文官任用令 / 学習歴 / 履歴書 / 中等教育 / 各種学校 / 私塾 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、史料調査、研究会報告、学術論文の発表および調査内容の整理を行った。 史料調査については、4月に大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館が所蔵する「群馬県庁文書」を閲覧撮影した。調査によって、明治20年代の官吏任用例規を新たに発見収集することができた。9月には宮城県立公文書館が所蔵する「宮城県庁文書」を閲覧撮影した。調査によって明治期宮城県内の三等郵便局の任用文書を発見収集することができた。また、雇員および官吏の詮衡任用文書も発見収集することができた。なお3月には「台湾総督府文書」の画像データを簡便に閲覧印刷可能な施設である中央研究院档案館における調査を予定していた。しかし研究代表者の都合により取りやめになった。「台湾総督府文書」には膨大な任用文書が含まれており、平成28年度に再度調査を行うこととする。 研究会報告については、「〈教育と社会〉研究会」において研究会誌に投稿した論文の検討会を行った。検討の結果、論文の掲載が認められた。また、2月には研究協力者である山下廉太郎氏および助言者の松尾由希子氏と会合を持ち、平成28年度における学会での共同報告を見込んで共同研究を進めていくことを確認した。 学術論文の発表については、前段の「〈教育と社会〉研究会」の研究会誌に判任官の任用制度の変遷をたどった論文を掲載することができた。また、東京大学出版会からの依頼により『UP』誌に本助成全体のコンセプトおよび史料の紹介についての論文を掲載することができた。 そして最終年度の平成28年度に向けて、官報掲載の文官普通試験情報のリスト化や「文官任用令」において認定された学校のリスト化を行った。また「文官任用令」における認定制度の変遷について発表に向けた検討を行っている。そして引き続き、アルバイトの支援を受けながら収集した履歴書史料の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第3年度を迎え、論文の発表を複数行うことができた。そのうち東京大学出版会の広報誌に掲載した論文については、研究内容について広く理解を得る上で貴重な業績となったといえる。 史料調査もほぼ順調に行うことができた。ただし台湾への調査は平成28年度に持ち越すこととなった。 研究報告については、平成28年度に研究内容の意義や成果について広く問う総括的な報告を行う準備ができた。また、現在執筆中の論文を学会誌などに投稿して成果を公表していきたい。 収集資料の整理については、平成28年度に収集資料の一部を資料集などの形で公表できるまで整理を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は最終年度となる。総括的な成果を公表していきたい。また次の研究事業への展開を見越して課題の精査に努めたい。 史料調査については、平成27年度に実施できなかった台湾への調査を実施できるようにしたい。またこれまでの調査や検討の結果、再調査が必要となった施設における補足的な調査を行いたい。 研究報告については、学会報告の機会を設けたい。その際、共同での報告を行うことによって研究内容の意義と成果について広く理解を得るようにしたい。 収集資料の整理については、履歴書史料については収集できた量が膨大なため、次の研究事業への展開をも見据えてデータの概要をまとめられるように整理を進めていきたい。また官報掲載の文官普通試験情報のリストや「文官任用令」において認定された学校のリストについては、資料集の形で公表できるように手続きを進めたい。 以上の成果をもとに課題を点検し、次の研究課題への展開を考察していきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度には台湾への史料調査を予定していた。研究協力者の旅費と合わせて20万円程度を見込んでおり、前年度未使用額は発生しないように計画をしていた。しかしながら急な事情により調査が実施できなくなったため、その分の額が未使用額として次年度に繰り越されることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施できなかった台湾への調査を実施する。また、資料集の印刷頒布や学会及び研究会への報告や参加によって旅費を使用する。そして史料整理をより進展させるため、アルバイトの雇用を検討する。
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