2013 Fiscal Year Research-status Report
法的観点に立ついじめ問題に対する学校の対応の在り方に関する研究
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25780495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
黒川 雅子 淑徳大学, 社会学部, 准教授 (90339482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | いじめ / 危機管理 |
Research Abstract |
本研究は,教育学と法学の学際的視点から,1970年代以降のいじめ裁判を整理し,「いじめ問題に対する学校の対応の在り方」を明らかにすることを主たる目的としている。研究初年度にあたる本年度は,いじめの類型化に関わる先行研究の整理するとともに1970年代及び2000年以降のいじめ裁判の収集・分析に努めた。また,2013(平成25)年に制定され,今後,学校現場に多大な影響を与えることになると思われる「いじめ防止対策推進法」において学校に求められる役割を整理することを試みた。 その結果,いじめの類型化に関わる課題として,特に2000年以降の裁判例において,被害者側が,いわゆる「主観主義」にたった主張を展開するケースが見受けられることが明らかとなった(佐賀地方裁判所判決平成24年1月27日等)。学校関係者が,いじめ問題に対応するにあたり,いじめのレベルに応じた対応を行う重要性が増しているといえる。また,裁判例の分析を通じて,学校側に求められる責任として,いじめの実態解明を目的とした調査の実施が不可欠であると解されることが明らかとなった。この点については,いじめ防止対策推進法においても重視されている(23条2項)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度における研究成果の目標としていた,裁判例の収集・分析、いじめの類型化に関する先行研究の整理を進めることができたと考えているからである。また,これらに平行して,いじめ防止対策推進法に関する考察も進めることができ,今後のいじめ問題における学校の対応の在り方について必要となる新たな視点を研究することができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
いじめ問題に関する裁判例の収集・分析に努めるとともに、現代的教育課題としてのいじめ問題を学校現場がどのように捉え,教員がどのような研修を経ていじめ問題に対応しているのかという点について,教育委員会の調査等を実施することによって考察していくこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究資料等,予定していた冊数より少ない購入数となった点に原因がある。 研究に要する資料等については,適宜収集していくことに努めていきたい。
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