2013 Fiscal Year Research-status Report
「文検」手工科試験問題の研究-師範学校教員に求められた教科専門知識と技能の分析-
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25780496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
疋田 祥人 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40425369)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 「文検」 / 手工科 / 手工科教員養成 / 中等教員養成 / 教育史 |
Research Abstract |
平成25年度は、手工科教育の充実期(1926年~1942年)に実施された「文検」手工科の出題傾向や内容についての分析を行った。 その結果、手工科教育の充実期(1926年~1942年)における「文検」手工科においては、手工科担当師範学校教員に必要な資質として、定着期(1907年~1925年)と同様、工業ないし産業における構想・計画・立案・段取りなどに関わる創意的・構成的能力を第一義に位置づけた物品製作の技能とともに、図学の知識およびそれを応用する製図の能力が最も重要なものとして求められていた。 また、こうした技能的側面だけでなく、手工科教育および実習の実施に関する基礎的知識や地方の手工科教育の中心となるべく手工科担当師範学校教員としてふさわしい人格も、必要不可欠の素養として考えられていた。 ここでの手工科教育に関する基礎的知識とは、単に手工科教育の目的・価値、指導法、教材などを理解しているだけでなく、国民形成を担う教育者としての幅広い視野をもち、そうした幅広い視野から手工科教育の意義や教育的効果を考察する能力、および現在だけでなく、将来にわたる手工科教育のあり方を展望する能力も含まれていた。 他方、実習の実施に関する基礎的知識とは、「木工」、「金工」、「粘土細工」から「セメント細工」や「手芸」までにわたる広範な領域・分野について、各領域・分野に関わる材料、道具、工作法などのそれぞれの事項を、しかも、「木工」については、道具ばかりでなく、工作機械を含んだ内容について精通していることを意味していた。 このような点から、手工科教育の充実期(1926年~1942年)における「文検」手工科では、手工科教育および実習の実施に関して、より幅広い知識が求められていたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で未解明となっている手工科教育の充実期(1926年~1942年)の「文検」手工科の試験問題の内容と形式についての分析を行い、各時期における試験問題の出題傾向や内容は明らかになった。 また、試験問題および雑誌『文検世界』や『手工研究』は、概ね収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
「文検」の検定委員に任命されていた上原六四郎、後藤牧太、岡山秀吉、阿部七五三吉、伊藤信一郎、三苫正雄、山形寛、松原郁二のうち、伊藤、三苫、山形、松原の手工科教育論や教員養成論を、彼ら自身が執筆担当し、師範学校で手工科を担当する教員に身につけさせたかった彼らの手工科教育論が結晶されていたと考えられる師範学校手工科用の検定教科書や、『教育報知』、『文検世界』、『手工研究』等の教育関係雑誌を用いて考察する。 そして、これまでに解明されている「文検」手工科試験問題の内容と形式を、検定委員の手工科教育論および教員養成論との関連で再検討する。 資料は、物品費を用いて、古書等の書籍を購入するほか、国内旅費およびその他(印刷・複写費)を用いて、国公立図書館や公文書館、および国公私立大学附属図書館に出向き、文献複写を行う。また、資料の保存状態が悪く、資料を複写できない場合は、撮影またはデータ入力で対応する。 また、平成25年度と同様に、資料の収集および分析にあたっては、謝金を用いて、日本教育史・教員養成史(特に「文検」研究)研究者、手工科教育研究者、技術教育研究者などから専門的な知識を得たい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費の物品費、旅費、人件費などの各費目に端数が生じ、最終的に239円の未使用額が生じた。 次年度の予算を合わせて、物品費(古書等の購入)などに使用していく。使用にあたっては、端数も生じることを考慮し、未使用額が生じないように、計画的に使用していく。
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Research Products
(2 results)