2017 Fiscal Year Research-status Report
東南アジア域内の多国間学生移動と留学生のキャリア形成―ASEAN共同体に向けて
Project/Area Number |
25780510
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鴨川 明子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
|
Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 女性の高学歴化 / 東南アジア / ASEAN / 留学生 / キャリア形成 / 多国間学生移動 / ジェンダー / 市民性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジア10カ国はASEAN共同体の構築を目指している。東南アジア域内を移動する留学生は、ASEAN共同体を構築する上での原動力になると思われる。本研究は、東南アジア域内を移動する留学生のキャリア形成について、ジェンダーの観点から明らかにすることを目的としている。 こうした問題意識の下に、マレーシアを中心にブルネイなど近隣諸国と比較しながら研究を進めてきた。本年度はマレーシアにおいて実地調査を行い、教育省、高等教育省、教員養成系大学を訪問し関係者にインタビューを実施した。実地調査の結果等をもとにした研究実績を、以下①から④にまとめる。 まず、①「東南アジアの女性の高学歴化」と題する事典の項目執筆に生かし、東南アジア域内を移動する留学生のキャリア形成という視点の重要性を指摘した(次年度出版予定)。②また、他の科研と有機的に連動しながら研究を進めてきたが、昨年度マレーシア国内の教員制度改革について日本比較教育学会で共同発表した内容を素地に、共著論文にまとめ公表した。加えて、マレーシアの教員研修に関する報告書論文を著し、その報告書論文において「女性職」として位置付けられる教師・教員という職業の現状と問題点を指摘した。 さらに、③ASEAN共同体の構築に向けた課題である市民性教育に関して、日本比較教育学会第53回大会(於:東京大学)において、ASEAN10カ国を専門とする研究者とともに議論する機会を得られた。代表者はブルネイの市民性教育に関して報告し、ASEAN共同体の構築に向けた各国の市民性教育の現状と比較しながら意見交換した。 最後に、④社会への研究成果の還元という観点からの実績であるが、山梨県の県立高校において、「日本の教育、アジアの教育―教育を比較する」と題する出前講義を行った。その折に、研究成果の一端を高校3年生に紹介し、フィードバックを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実地調査を行い、当該テーマに関わる学会発表および論文の公表、事典の項目執筆などを行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度は、年度前半にはマレーシアあるいはブルネイにおいて現地の研究者にインタビューを行い、専門的な見地から研究の成果に関して意見交換する。 年度後半には、これまでのマレーシアを中心とする実地調査の結果をまとめることとする。 さらに、ASEAN域内の動向に関する政策分析・文献調査を継続して行いつつ、各国政府による、ASEAN共同体の構築に向けた留学生移動やキャリア形成に関する政策や施策の異同を明らかにし、それらの域内での連携可能性について明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
本年度の予算残額によりマレーシア調査のみを実施し、ブルネイ調査計画を見送ったため。次年度はブルネイあるいはマレーシアにおいて実地調査を行う予定である。
|
Research Products
(4 results)