2015 Fiscal Year Research-status Report
犯罪・非行からの「社会復帰」過程と教育的「支援」をめぐる社会学的研究
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25780518
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
平井 秀幸 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (00611360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 犯罪 / 非行 / 社会復帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書にも記載された通り、本研究は、犯罪・非行少年の「社会復帰」過程における多様性や困難性を社会学的観点から明らかにし、彼らへの教育的「支援」のあり方を展望することを目的とする。特に、施設内処遇(少年院における矯正教育)に留まらない社会内処遇(地域での保護観察等の教育的「支援」)まで包含した「社会復帰」の全体像を射程に入れる点に本研究の特色がある。また、単なる実態解明に留まらず、そうした「社会復帰」や「支援」が有する「歴史」的経緯や、諸外国との「比較」的特性を考慮したうえで、既存の学術研究における「社会復帰」理解を批判的に刷新する「理論」的貢献と、「社会復帰」に取り組む犯罪・非行少年の多様なニーズを踏まえた教育的「支援」のあり方を広く国内外の実践へと提言する「政策」的貢献、の二つの学術貢献が強く志向されている。 本年度は、前年度に実施された少年院在院期間の後半期に焦点を当てた縦断的調査の経験的データに基づく社会学的分析を継続するとともに、追加調査等の知見も加味しながら精力的な論文化作業を実施した。また、前年度に実施した薬物処遇を対象とした介入の歴史的分析をふまえ、社会復帰と支援におけるマクロな社会変動を「リスク」概念と結びつけながら考察を行った。加えて、これまでの研究成果を単著、単翻訳書、単独講演というさまざまなかたちでアウトプットすることに力を注いだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、現在までの研究達成度に関しては、おおむね順調に進展していると考えられる。 本研究の研究期間を通しての研究課題は、交付申請書に記したとおり、(A)犯罪・非行少年の「社会復帰」過程と、その教育的「支援」に関する“フィールドワーク”、(B)上記「社会復帰」過程における教育的「支援」に関する“歴史研究”、(C)上記「社会復帰」過程における教育的「支援」の“国際比較調査”、(D)上記「社会復帰」過程と、その教育的「支援」に関する“理論的考察”、(E)学術論文・書籍等の公刊と国際シンポジウムの開催、としてまとめられる。 今年度は、Cに関して計画通りの進展が認められなかったのに対して、A、B(の一部)、DおよびEに関しては、研究計画通り、ないしはそれ以上の進展が認められた。Aに関しては分析結果を二本の単論文としてまとめることができた。BとDに関しては、リスクをめぐる理論的考察の他、申請者のこれまでの研究成果をまとめた単著、単訳書のなかでも本研究の分析結果を盛り込むことができた。総じて、Eに関してはかなり大きな研究の進展がもたらされたということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、交付申請書に記された研究計画に従い、A)犯罪・非行少年の「社会復帰」過程と、その教育的「支援」に関する“フィールドワーク”、(B)上記「社会復帰」過程における教育的「支援」に関する“歴史研究”、(C)上記「社会復帰」過程における教育的「支援」の“国際比較調査”、(D)上記「社会復帰」過程と、その教育的「支援」に関する“理論的考察”、(E)学術論文・書籍等の公刊と国際シンポジウムの開催、の各プロジェクトに関して、精力的な研究を進める。 ただし、Cに関して、本年度に計画していた海外調査を受け入れ先の事情等により実施することができなかったため、研究最終年度である来年度において、海外での「社会復帰」過程における教育的「支援」に関する国際ワークショップのオーガナイズと参加を予定している。また、特にEのアウトプット作業にかかわる活動に来年度は力を注ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
今年度使用額として当初予定していた海外調査が調査先の都合等で実現できなかったため、その分の金額が次年度に繰り越されている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「今後の研究の推進方策」で記したとおり、次年度において海外学術ワークショップを計画しており、参加予定である。繰り越された研究費はそのための費用として支出予定である。
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Research Products
(7 results)