2015 Fiscal Year Research-status Report
多様性尊重と社会統合のためのグローバル時代のシティズンシップ教育カリキュラム開発
Project/Area Number |
25780527
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
橋崎 頼子 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (30636444)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 市民性教育 / カリキュラム / 多様性の尊重 / 社会統合 / 欧州評議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、欧州評議会の市民性教育カリキュラムの分析を通して、多様性尊重と社会統合のためのグローバル時代のシティズンシップ教育カリキュラムの開発を行うことである。本年度は、①欧州評議会における概念学習プログラムの実態解明、②日本の中学校における市民性教育カリキュラム開発への着手を目指した。 第一に、多様なアイデンティティを尊重するシティズンシップ教育において、教育の中で扱われる中心概念の異なる解釈は、修正・統一される対象ではなく、教育プログラムの中で積極的に取り上げられるべき教材であるという観点から、欧州評議会のCLEARプロジェクトの考察を行った。研究成果は、第25回日本国際理解教育学会の研究発表、および論文(『奈良教育大学次世代教員養成センター研究紀要』第2号)にて発表した。本稿では、CLEARプロジェクトの目標・および教授学習過程を具体的に示した。本プロジェクトの意義として、①概念の背景にある価値や文化への批判的理解の促進、②多様な立場を尊重しつつ意見を交流するためのスキルや態度の育成、③①②に支えられた異なるアイデンティ ティを尊重する態度の育成、を指摘した。 第二に、市民性教育カリキュラム開発について、日本の中学校の社会科担当の教諭と共同で取り組んだ。欧州評議会の市民性教育カリキュラムの特徴である、多元的・多層的アイデンティティの育成を目指す中学校1年生の年間カリキュラムを、共同で構想した。具体的には、既存の共同体を形成している「ボーダー(境界)」を批判的に読み解くことで、子どもたちの境界に対する認識の揺らぎを引き起こすことを目指した。同時に外部講師を招いて研究を深めた。研究の成果は、中学校公開研究会での教諭の授業提案、実践報告(シンポジウム「教員養成大学におけるグローバル人材育成を考える」)につながった。来年度は共同発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧州評議会の市民性教育のカリキュラムを詳細に分析することを通して、日本の中学校でのカリキュラム開発につなげていくことが出来ている。ただし、3年間のカリキュラム開発を予定しており、現時点では1年目のカリキュラムの構想が出来た段階である。来年度は、2年目、3年目のカリキュラムの構想を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本の附属中学校における、2年目、3年目の市民性教育のカリキュラムの構想を予定している。また、日本におけるシティズンシップ教育に関する研究成果を、ノルウェーの学会において発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度に予定していた調査が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年6月にオスロ―にて調査および学会発表を行う予定である。
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