2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける音楽科教師の専門性と教授能力育成に関する研究
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25780530
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 真 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70455046)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教員養成 / ドイツ / ハンブルク州 / 音楽科 / 総合大学 / 音楽大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、音楽科教員養成課程を持つ大学の教員養成規程およびシラバスの分析を行い、履修科目とその内容を精査することをとおして、ドイツにおける音楽科教員養成の特徴を大学における学修を中心に明らかにした。具体的には、ボローニャプロセスの影響を受けて2007/2008年から学士課程と修士課程を新設し、それらを一体として教員養成の第1段階とするようになったハンブルク州を調査の対象として選定し、音楽科教員養成に関わるハンブルク大学とハンブルク音楽演劇大学の諸規定の分析・検討、および両大学の現地調査を行った。 ハンブルク州では「教育学」に関わる内容を総合大学であるハンブルク大学が担当し、授業科目の内容である「音楽」に関わる内容を専門大学であるハンブルク音楽演劇大学が担当している。これらの大学間の学修を調整し、教育実習を司るのがハンブルク州教員養成・学校開発研究所である。両大学の諸規定およびシラバスを分析したところ、以下のことが明らかとなった。①学士課程では他の教科と比べて音楽科の必要単位数が多く(105単位)、学習期間も長い。②履修科目は関連する講義やゼミナールを包括してモジュール化されている。③音楽に関わる科目は、ハンブルク大学では教科教授法と基礎学校における学習領域、教育実習に限定され、音楽演劇大学では演奏に関わる学習が集中的に行われる。④教育実習が学士課程と修士課程を通して綿密かつ集中的に配置され、重視されている。⑤ハンブルク大学における「教育学」の部分課程においては音楽科教授法よりも一般教育学の割合が高く、教育実習と関連してこれらの知識と能力の獲得がより重視されている。⑥音楽演劇大学における学修は、音楽の内容に関する専門的学習であり、学校教育の場を想定したものは少数に限定される。⑦これらの学びはその後に行われる18か月の試補勤務においてさらに実践的に補足・強化される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に研究の中心としていた、大学における音楽科教員養成にかかわる制度の全体的把握、および調査対象のハンブルク州における具体的事例の精査・分析が達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成25・26年度の研究結果に基づき、ハンブルク州を主要な調査対象としながら、大学修了(修士課程)後または第1次国家試験合格後に行われる、教員養成における第2段階である試補勤務の制度とその具体的内容について明らかにする予定である。そのために、各州文部大臣会議(KMK)によって公表されている関連資料の整理を行うとともに、現地調査を通して音楽科教員養成の内容と方法について具体的な把握を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
現地調査の場所が集約され、また調査日程が限定されたため、次年度使用額がプラスとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も引き続き現地調査を計画しており、旅費・謝金と合わせて使用する。
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Research Products
(2 results)