2015 Fiscal Year Research-status Report
数学教育における類推を能率的に活用する授業構成と教材開発に関する実証的研究
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25780531
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中川 裕之 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (00450156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 類比 / 類推 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目標は、これまでに導出した理論の有効性の検証と改善点の明確化であった。 そのため、理論として導出した類比のとらえ方に基づく授業を構想し、実践を行った。授業は全部で3つ行い、2つは大分市内で、もう1つは埼玉県内でそれぞれ公立学校において実践を行った。授業実践では、授業者の先生との認識や理解を共有することが難しく、その点に課題を感じたが、授業自体はおおむね構想通り進めることができた。 そして、有効性と改善点を明らかにするために、授業実践後に調査を行った。当初は調査問題の冊子を作成し、一時間を使って調査を行う予定であったが、使える時間がそれ程なかったため、簡単な問題1題を解いてもらい、その後アンケートに答えてもらう形で調査を行った。その結果は、類比のとらえ方の有効性をある程度示すものであったが、一方で授業内容の難易度や学級によって類推できる生徒の割合に差が出ることも明らかとなった。 そこで、数学教育学や認知科学の先行研究を見直し、理論の有効範囲について考察を行った。その結果、生徒の既習事項や経験によって差が出ることが示唆され、今度は授業実践をお願いした授業者に対するアンケート調査を行い、日頃の授業の方法や指導内容、気を付けている点などについて調べた。しかし、アンケート調査からは明確な差が見られなかったため、新年度に実際の授業を何時間か観察させていただくことにした。 これからの研究によって、授業実践によって生徒の類推する姿勢や頻度に変化が見られたことから、導出した理論の有効性を明らかにすると同時に、よりよいものとするための改善方法に対する示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は授業実践を通した理論の有効性の検証が主な研究目的であった。その点で授業実践を3つ行うことができた点で順調に進展していると考える。一方で、理論やそれに基づく実践結果に関する論文を執筆し、学会誌に投稿しているが、その査読結果が返ってきていないものがあり、その点だけでは研究の進捗が十分とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大分市内の数学科主任の研修会で授業実践の成果について講演を行い、いくつかの学校で理論に基づく授業を構想し、実践してもらうことで、理論の有効性についてさらなる検証を行うと同時に、広く現場の教員に研究成果を広めていくことを考えている。また、その過程で現場のニーズや実態に合ったものに修正していくことを考えている。さらに、研究成果に関するホームページを作成し、講演などを行った際に紹介することでも研究成果を広め、現場で活用できるものとしていきたい。
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Causes of Carryover |
該当年度予定していた授業実践のうち1つがカリキュラムと学校の都合で次年度に行うこととなったため、次年度使用額が発生しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行うこととなった授業実践については、すでに打ち合わせを進めており、翌年度の早い時期に着実に実践できるものと考えており、その際に繰り越した研究費が使う予定です。
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Research Products
(5 results)