2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25780534
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
長岡 由記 滋賀大学, 教育学部, 講師 (90615915)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 各教科の教育(国語) / 文字教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校入門期におけるひらがな教育の特徴を明らかにするために、本年度は(1)小学校国語科教科書に採録されているひらがな教材および市販のひらがな学習材の分析(2)ひらがな学習における「系統性」の検討(3)幼児期と入門期のひらがな教育の「接続」問題の検討の3点を中心に行った。(1)については昨年度に引き続き昭和50年代から現在に至る小学校国語科教科書教材の収集を行い、「系統性」の観点および「読字・書字習得過程」「書字・読字方略」をもとに構築した観点を用いて分析を行った。その結果、小学校入門期のひらがな教育では、教材の「文字の提出順」への配慮というかたちで「系統性」を実現しようとする傾向があることが明らかとなった。また、昭和20年代の教科書に採録されていた文字提出前の準備段階で活用する教材がしだいに採録されなくなっていくことが明らかとなった。このことと関連して、(2)の入門期のひらがな教育における「系統性」には、「他者との関わり」を通した学びの視点が十分に加味されていないことがみえてきた。一方、幼児教育においては、偶発的な文字への気づきも含めて、他者との関わりを通して文字に対する興味関心を育むための環境整備に着目した文字学習活動の提案が多くみられる。これらの点を踏まえると、入門期のひらがな教育は、個々の読み書きの技能習得を重視した上で、一般的な習得上の困難点を見据えて容易な文字から提出するという教材配列を行い、確実な技能習得をめざした教育理論の構築は行われてきたが、他者との関わりを通して文字を習得していくための教育理論を構築するという点においては課題があるといえる。この点に(3)の接続上の困難さを見出すことができると考える。
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Research Products
(1 results)