2013 Fiscal Year Research-status Report
点字使用者の学習において識別容易性の高い点図作成基準構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
25780539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森 まゆ 筑波大学, 人間系, 助教 (20634893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 点図 / 点字使用者 / 識別容易性 |
Research Abstract |
点字を常用する視覚障害者が触って理解する図である「点図」を作成する際の基礎的要件として、線を触って認知するときに識別容易性の高い線の条件を検討し、明らかにした。具体的には、点図において連続線または点線として認知される点サイズと点間隔の条件を明らかにすることを目的として、点字を常用する視覚障害者15名を対象とした実験を行った。 その結果、「実線」と認知される点間隔の最長値は3.46mm~3.48mm、「点線」と認知される点間隔の最短値は4.27mm~4.15mmであった。線種と点サイズを要因とする2要因参加者内分散分析を行った結果、線種の主効果のみが有意であった。したがって、「実線」「点線」と認知される点間隔には点サイズによる違いはないと考えられた。そして、結果の数値に標準偏差を加味すると、実線を表現するときの点間隔は長くても約3.0mmまで、点線は約4.9mm以上が望ましいと考えられた。 点字出版所技術者に調査を行った先行研究(森ら,2013)では、実線について「点のすぐ横に次の点を打つ」という回答があった。本研究の結果と合わせて考えると、「点のすぐ横に次の点を打つ」線と、点間隔3.0mmの線とを用いることにより、1つの図中に2種類の実線(例えば、視覚的な太線と細線)を表現できる可能性が示された。 点線の値は、点字出版所技術者へのインタビュー調査(森ら,2013)においては、「点線」とされる点間隔は1.42mm相当~5.4mm相当まで幅広く、このことを本研究の結果から考察すると、点図作成者が点線として作成した線の中には、読み手には点線と認識されにくいものがある可能性が示唆された。点字出版所技術者が経験から述べている点間隔5mm(加藤,2007)の指摘と、本研究の結果はほぼ一致している。本研究の結果は、経験則を裏付ける客観性を示せたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究推進にあたり、より基礎的な実験が必要と判断し、計画を修正したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、1本の直線の課題ではなく複数の線が含まれる、より実際的な点図の線において識別容易性の高い条件を明らかにすることを目的として、角度と線の本数による困難を解消する条件を検討する。具体的には、2種類の線の読み取り課題において分岐数と角度の困難が解消される点間隔の検討と、3種類の線の読み取り課題において分岐数と角度の困難が解消される点間隔と点サイズの検討を行う。
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