2014 Fiscal Year Research-status Report
点字使用者の学習において識別容易性の高い点図作成基準構築のための基礎的研究
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25780539
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森 まゆ 筑波大学, 人間系, 助教 (20634893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 点図 / 直線 / 点間隔 / 点サイズ / 点字使用者 / 視覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、点図において点字使用者から「線」と認知される点間隔の最長値を明らかにすることを目的とし、点字使用者を対象とした実験を行った。手続きは、点間隔を変化させた点図の1本の直線を触ってもらい、回答を求めるものであった。その結果、「線」と認知される点間隔の最長値の平均値は8.15mm、標準偏差は2.25mmであった。このことから、点図で「線」として認知されるものを示すためには、平均値と1標準偏差の差である点間隔約5.9mmまでが基準となると考えることができる。また、平均値つまり約8.2mmより広い点間隔では、約半数の読者からは「線」と認知されないため、これ以上の点間隔の線は使用を避けた方がよいと考える。 これまでは「線」として示すことのできる点間隔の上限は明確にされていなかったが、本研究において上限の基準として約8.2mmという値を示すことができた。そしてこれまでの研究において、おおむね4.9mm以上が点線としての目安であることが明らかになっていたが、本研究の結果と合わせると、点線の点間隔の範囲はおおむね4.9mm~5.9mmであることが示された。一方、点サイズ及び指の第一関節の長さ・幅は、点図の線の読みとりやすさに関連しないことも明らかになった。 以上の結果から、点図の線の基準として、実線の点間隔はおおむね2.9mmまでとすること、点線の点間隔はおおむね4.9mm~5.9mmとすること、点間隔3.5mm~4.0mmは実線または点線として意図的に用いる際は使用を避けること、点間隔おおむね8.2mm以上の線は使用を避けることを提案した。 さらに、これまでの研究では、凸点の連続が線として認知される条件への点サイズの影響は認められなかった。このことから、点サイズは同じでも点間隔のみを変化させることで異なる種類の線を表すことができることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究遂行にあたり、さらに、点図の線の点間隔の最長値について基礎的・詳細な研究が必要と判断し、計画を修正したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は複数の直線が含まれる点図の線における識別容易性の高い条件を明らかにすることで、点図作成基準の作成の基礎的な知見を明らかにすることを目的とする。具体的には、2種類の線の読み取り課題において分岐数と角度の困難が解消される点間隔の検討と、3種類の線の読み取り課題において分岐数と角度の困難が解消される点間隔と点サイズの条件の検討を行う。
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